【7月1日 AFP】南アフリカを訪問中のバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は6月30日、ケープタウン大学(University of Cape Town)で演説し、アフリカ諸国は国民生活の改善に努める指導者が率いることによって、はじめてその潜在能力を引き出すことができると述べた。

 オバマ米大統領が「国民が政府に仕えるのではなく、国民に仕える政府の存在があってこそ、進歩は可能である。歴史はそう示している」と述べると、集まった1000人以上の人々は長く盛大な歓声を上げた。

 また、「民主主義の中枢を担うべき存在である機関が汚職にまみれている事例は、アフリカ全土であまりにも多すぎる。大きな利益をもたらすことのできるものが、時に不平等の拡大をもたらすことになる」と述べ、アフリカの発展が脆弱な基盤の上で進んでいることを指摘した。

 ケープタウン大学では1966年、故ロバート・ケネディ(Robert Kennedy)元司法長官が、「希望のさざ波」という有名な演説を行っている。この演説の中でケネディ氏は、「アパルトヘイト(人種隔離政策)という人種的不平等」の否定を学生らに呼び掛けた。

 アフリカの若い世代に向けられた演説でオバマ氏は、政治的変革とアフリカ大陸の潜在能力に、自分たちで火をつけることができるとのメッセージを伝えた。

 オバマ氏はまた、「盗みや殺人、他者の権利剥奪」を行う者を非難し、南アフリカが最終的に与えてくれた教訓は、そういった暴力的な手法は功を奏さないというものだったと述べた。

 南アフリカ訪問中に行った他の演説でもそうだったように、この演説でも、首都プレトリア(Pretoria)の病院で危篤状態にあるネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)元大統領に話題が及ぶと、オバマ氏の声にはいっそう感情がこもった。「あなたは、囚われの身にある人間が大統領になれるのだということを、われわれに示してくれた」

(c)AFP/Stephen Collinson