【6月30日 AFP】米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)がインターネットの個人情報を監視していた問題に関連し、30日発行のドイツのニュース週刊誌シュピーゲル(Der Spiegel)は、NSAが欧州連合(EU)も監視の「標的」とし、ブリュッセル(Brussels)や米国内にあるEUの拠点に盗聴装置を取り付けていたと伝えた。

 同誌は機密文書を根拠としてこのニュースを伝えた。同誌が使った文書の中にはNSAの監視プログラム「PRISM」の存在を暴露し訴追された米中央情報局(CIA)元職員、エドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者(30)を通じて閲覧できた文書も含まれているという。

 同誌によると、「極秘」扱いとされている2010年9月の文書には、NSAがワシントンD.C.(Washington D.C.)市内のEU代表部をどのように監視しているかについての記述がある。NSAは盗聴用マイクを建物内に仕掛けたほか、コンピューター・ネットワークにも侵入して電子メールや内部文書を読める状態になっていたという。

 同誌はまた、国連(UN)本部のEU代表部も同様の監視対象になっていたと述べ、リークされた機密文書には欧州諸国のことが「標的」と書かれていたと付け加えた。

 監視はブリュッセルのEU本部にも及び、同誌によると5年以上前にEU理事会本部の建物(ユストゥス・リプシウス、Justus Lipsius)で電話やインターネットの盗聴・傍受装置がEUの警備専門家によって発見されたこともあったという。EUは03年、建物内でドイツや英国、フランスなどの事務所を標的にした電話盗聴装置を発見したと発表しているが、シュピーゲル誌が言及したのがこの件なのかどうかは明らかになっていない。

 シュピーゲル誌のウェブサイトはこの報道に対する反応を掲載した。その中で欧州議会のマルティン・シュルツ(Martin Schulz)議長は、詳しい情報が必要だが報道内容が正確と裏付けられた場合は「大きな不祥事だ」と述べた。(c)AFP