【6月23日 AFP】約2週間前からデモが続いているブラジルでは22日、ジルマ・ルセフ(Dilma Rousseff)大統領が前日夜のテレビ演説で公共サービスの向上と汚職防止の徹底に取り組むと述べたにもかかわらず、各地で引き続き抗議行動が行われた。

 ルセフ大統領の国民に語りかけるようなテレビ演説はデモ隊にほとんど何の影響も与えなかったようだ。デモ隊は抗議の続行を誓い、普段はサッカーに熱狂するブラジルの人々はコンフェデレーションズカップ2013(Confederations Cup 2013)の試合会場周辺で抗議の声を上げた。

 ブラジル南東部ベロオリゾンテ(Belo Horizonte)のスタジアム、ミネイラン(The Mineiro)周辺にはコンフェデレーションズカップの日本対メキシコの試合中に約6万人が集まり、「ワールドカップは誰のもの?」と繰り返し叫んだ。その際、デモ隊の一部が投石してスタジアムの周囲に設定された警備境界線を突破しようとしたため、警察は催涙ガスを使用した。

 今回のコンフェデレーションズカップは、来年のサッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)の最終リハーサルも兼ねている。ミュージシャンのレオナルド・メロ(Leonardo Melo)氏は、先のルセフ大統領の演説を「美辞麗句を並べただけ」と切り捨て、「ワールドカップには反対だ。それはこの国が直面している問題を覆い隠してしまう」と話した。

 このところブラジルでは数十万人の人々が巨額の費用が投じられているワールドカップ開催に対して抗議している。デモ隊は、政府が金を浪費し、保健政策や教育、公共交通などの問題をないがしろにしていると非難している。

 AFP記者によると、コンフェデレーションズカップでブラジル対イタリアの試合が行われたサルバドール(Salvador)では、22日に約200人のデモ隊が抗議を行った。スタジアムの中では数十人のサッカーファンが「ブラジルを変えるために路上に出よう」と書かれたプラカードを掲げた。抗議行動は他にもブラジリア(Brasilia)、リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)、サンパウロ(Sao Paulo)など数十の都市で行われた。(c)AFP/Hector Velasco