【6月17日 AFP】中国国営紙は16日、米政府による市民監視プログラムの存在を暴露したエドワード・スノーデン(Edward Snowden)氏の身柄を米当局に引き渡すことは、スノーデン氏の信頼に対する「裏切り」であり、中国当局の「面目を失う結果」をもたらすと社説で述べた。

 米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)で外部請負業者からの出向職員として勤務し、現在は香港に潜伏中のスノーデン氏の身柄引き渡しについて、中国国内のメディアが上げた声としては、これまでで最も強いものとなった。

 米当局による大規模なインターネット監視体制──この中には中国を対象にしたハッキングとされる事例もあった──が暴露されたことを受けて米中関係が緊張する中、米当局はスノーデン氏の刑事捜査に着手した。

 中国外務省は先週、スノーデン氏について「提供する情報はない」と述べ、堅くその口を閉ざしたままだ。一方、中国メディアはこれまで、スノーデン氏の送還を拒否するべきだとの世論に中国当局も従っているはずだと報じていた。

 17日付の国営環球時報(Global Times)の社説は、さらに一歩踏み込み、スノーデン氏を送還した場合に生じるだろう、中国の「面目を失う結果」について論じた。

「一般の犯罪と異なり、スノーデン氏は誰1人傷つけていない。彼の『犯罪』は、米当局による人権侵害について内部告発したというものだ」(環球時報)

「スノーデン氏を米国に送還することは、スノーデン氏の信頼を裏切るだけでなく、世界中からの期待を失望させるものになるだろう。香港のイメージは永久に損なわれることになる」

 香港の英字紙サンデー・モーニング・ポスト(Sunday Morning Post)が16日に発表した調査によると、米当局が身柄引き渡しを求めた場合にスノーデン氏を送還するべきかどうかという質問に対し、するべきでないと回答した香港市民は49.9%に上った。一方、スノーデン氏の送還に賛成した人はわずか17.6%で、32.4%は分からないと回答した。調査には509人が回答したという。(c)AFP