【6月17日 AFP】 ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は16日、主要8か国(G8)首脳会議(サミット)を前に、英ロンドン(London)でデービッド・キャメロン(David Cameron)英首相と会談した。会談後の共同記者会見でプーチン大統領は、ロシアは「規則と規範」にのっとってシリア政府への武器提供を行ってきていると述べ、反体制派への武器支援を検討中のG8各国に対し、同様の行動を取るよう要求した。

 ロシアはシリア内戦をめぐり西側諸国と対立しており、この会談は、G8首脳会議の基調を決める可能性がある。キャメロン首相は、18日から北アイルランドのロックアーン(Lough Erne)で始まるG8首脳会議で、シリア内戦への対処についての国際コンセンサスを作りたい考えだ。

 西側の停止要請にもかかわらず、シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権に軍事支援を続けるプーチン大統領は、シリア政府が化学兵器を使用したとする米国の主張を退け、ロシアは適正な行動をとっていると主張している。共同会見では「われわれはどの規則や規範にも違反しておらず、すべてのパートナー国に同じ様に行動するよう求める」と述べた。

 米国は先週、シリア政府が化学兵器の使用という「レッドライン(越えてはならない一線)」を越えた証拠を入手したとして、アサド政権との戦いを続ける反体制派への軍事支援を表明した。

 プーチン大統領は、シリア兵の遺体から心臓を切り取り食べる反体制派戦闘員の映像が先月出回ったことに言及し、シリア反体制派勢力に武器を供給する国は、自らの評判を汚す危険を冒すことになると警告した。「敵を殺害するだけでなく、公然とカメラの前で体を切り開いて内臓を食べる連中に対し、(武器を供与して)支援する価値はない」

 一方のキャメロン首相は、この会談により、G8の首脳らがシリア情勢に関するなんらかの合意に達することができると確信したと述べている。

「今日の会談から私がくみ取ったのは、この紛争を終わらせ、シリアの崩壊を防ぎ、誰がシリアを統治するのかをシリアの人々に決めさせ、過激派と戦って打ち負かすという、根本的な目標をわれわれが共有しているということを認識できれば、これらの違いを乗り越えられるということだ」

(c)AFP/Guy JACKSON