【6月16日 AFP】14日投票のイラン大統領選で保守穏健派のハサン・ロウハニ(Hassan Rowhani)元最高安全保障委員会事務局長(64)が勝利したことを受け、大勢の市民が街頭に出てロウハニ師の勝利を喜んだ。

 ロウハニ師の勝利が伝えられて8年間に及んだ保守強硬派政権の終結が確定した15日、イランの首都テヘラン(Tehran)では数万人が街頭に繰り出し、同師の肖像写真を掲げて改革を支持するスローガンを叫んだ。

 群衆の多くはロウハニ師の選挙運動のシンボルカラーだった紫色や、改革派を象徴する緑色の衣服や装飾品などを身に着けていた。ロウハニ師のポスターを掲げ、緑色のリストバンドを着けていたアシュカン(Ashkan)さんという男性(31)は、「イランに再び希望が生まれたので今夜はうれしい」と語った。

■慎重ながら好意的な反応

 西側諸国はロウハニ師の勝利に慎重ながら好意的な反応を示している。米政府は、大統領選の結果を受けて核問題をめぐってイランに直接関与していく用意があると述べ、「イラン核開発に関する国際社会の懸念に全面的に対応した外交的解決」を目指すと発表した。

 国連(UN)の潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長はメッセージでロウハニ師への祝意を表するとともに高投票率が伝えられたことを歓迎し、イランに対して国際社会の問題で「建設的役割」を担うよう促した。

 欧州連合(EU)のキャサリン・アシュトン(Catherine Ashton)外交安全保障上級代表は声明で、核問題の「速やかな外交的解決」に向けてロウハニ師と連携していく考えを示した。アシュトン氏は、核問題をめぐる国連安保理常任理事国にドイツを加えた6か国とイランの協議で、6か国側の代表を務めている。
 
 フランスのローラン・ファビウス(Laurent Fabius)外相は、仏政府がロウハニ師と「(核問題に)取り組む用意がある」と述べた。また、英国はイランに対して「別の道筋」に進路を定めるよう求めた。

 ただイスラエルは、イランの核開発政策を決定したのは最高指導者アリ・ハメネイ(Ali Khamenei)師であり、大統領ではないと指摘。イスラエル外務省は「選挙後のイランは引き続き、核やテロの分野における行動によって判断されるだろう」と警戒を緩めない考えを示した。

 ドイツのギド・ウェスターウェレ(Guido Westerwelle)外相は、改革や「建設的外交政策」を求める投票だったとして選挙結果を歓迎。シリア反体制派の統一組織「シリア国民連合(Syrian National Coalition)」はロウハニ師に対し、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)シリア大統領への支持を見直すよう呼びかけた。(c)AFP/Farhad POULADI