【6月13日 AFP】トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)首相は12日、全国規模に拡大した反政府デモの引き金となったイスタンブール(Istanbul)の公園再開発計画に関する住民投票の実施を検討する考えを示した。2週間近くにわたり続く反政府デモに対し、強硬姿勢を貫いてきた同首相が、ここまでの譲歩を示したのは初めて。

 同市のゲジ公園(Gezi Park)に隣接するタクシム広場(Taksim Square)では、デモ開始から13夜目となる同日夜、数千人の人々が集まった。同広場では前夜、デモ隊と機動隊との激しい衝突が起きていたが、それとは対照的にこの夜のデモは穏やかなものとなった。

 エルドアン首相率いる与党・公正発展党(AKP)のフセイン・チェリック(Huseyin Celik)氏は、12日に行われたデモ隊の代表らと首相との会談の後に行った記者会見で「住民投票にゆだねるかもしれない。民主主義においては、人々の意志のみが考慮される」と述べ、「この善意の行為の後、人々は家に帰ることを決めるだろう」と付け加えた。

 一連のデモでは、これまでに4人が死亡した他、5000人近いデモ参加者が負傷しており、エルドアン首相のこの問題への対処には国際社会からの批判が高まっている。

 エルドアン首相はこれまで、デモに対する「我慢」が限界を迎えつつあると繰り返し警告してきたが、デモ隊の代表の一部と対話するという和平のしるしを初めて示した。

 環境活動家らからなるゆるやかな連合が首相と会談したが、会談後、首相側からの住民投票の申し出についてはコメントをしていない。このグループについては、首相との会合のために入念に選ばれた人々で、デモ隊の大半を代表するとは言えないとの批判の声が上がっている。

 イスタンブールと首都アンカラ(Ankara)では同日、当局により弁護士70人以上が一時的に拘束されたことに抗議し、数千人の弁護士が街頭デモを行った。拘束された弁護士らは前日、タクシム広場での機動隊によるデモ隊の暴力的な排除に抗議していた。(c)AFP/Fulya OZERKAN