【6月10日 AFP】南アフリカの反アパルトヘイト(人種隔離政策)運動指導者、ネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)元大統領(94)が肺の感染症で入院して2日目となった9日、多くの国民たちが回復を祈る一方で、「逝かせてあげるべき」との声も上がっている。

 来月95歳の誕生日を迎えるマンデラ氏にとって、今回の入院は昨年12月以降、4度目。前回の入院では肺炎の治療を受け、4月に退院していた。

 9日付の南ア紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)は、マンデラ氏が笑顔で手を振る写真と共に「彼を逝かせる時が来た」と見出しをつけた1面記事を掲載した。マンデラ氏の古くからの友人であるアンドリュー・ムランゲニ(Andrew Mlangeni)氏(87)は記事の中で、「私たちはマディバ(マンデラ氏の愛称)の早い回復を祈っている。だが大事なのは、家族は彼を逝かせてあげなければいけないということだ」と語る。

 反アパルトヘイト運動の先頭に立ったマンデラ氏とムランゲニ氏は1964年に国家反逆罪で終身刑を言い渡され、塀の中の生活を共にした仲だ。ムランゲニ氏はマンデラ氏に「もう回復の見込みはないかもしれない」とした上で、「家族が気持ちを固めれば、南ア国民もそれに従うだろう。私たちは、このような偉大な人物を私たちに与えてくれた神に感謝し、彼を逝かせてあげるのだ」と語った。(c)AFP/Serene Assir