【6月10日 AFP】 米当局によるインターネットユーザーや通話記録の監視プログラムの存在が発覚した問題で、政府機関で働く29歳の契約職員が9日、自分が報道の情報源だと名乗り出た。

 米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)で4年間働いてきたエドワード・スノーデン(Edward Snowden)氏は、英紙ガーディアン(Guardian)のウェブサイトに掲載されたインタビュー映像で自らの顔を隠すことなく、監視プログラムの存在を漏らしたのは自分だと語っている。

 安定した生活を捨てる決意をしたのは、「米政府が極秘裏に構築する巨大な監視機構を用い、世界中の人々のプライバシーやインターネットの自由、基本的自由権などを破壊していることを、良心が許しておくことはできない」からだと説明している。

 米中央情報局(CIA)の技術専門家として働いた経験もあるスノーデン氏は、米パソコン大手デル(Dell)など外部の数々の請負業者からの出向職員としてNSAで働いてきた。現在の雇用主は米コンサルティング企業のブーズ・アレン・ハミルトン(Booz Allen Hamilton)だ。

 スノーデン氏は5月20日、米ハワイ(Hawaii)のNSA支部で、公表するつもりだった書類の最後の1組をコピーし終え、香港(Hong Kong)に渡った。現在も香港のホテルに滞在しているという。

■犯罪捜査の可能性も

 米情報機関を統括するジェームズ・クラッパー(James Clapper)米国家情報長官は8日、米情報機関が「PRISM(プリズム)」と呼ばれるプログラム下で、一部の外国市民を対象に、米国外でのインターネット利用の痕跡を収集していることを認めている。

 また同長官は9日に一部が放送された米NBCニュース(NBC News)とのインタビューで、この事実の漏えいは米国の情報活動能力に「多大で、重大な損害」を与えたとして、犯罪事件として扱うことを明らかにした。

 プログラムの存在を暴露した人物について同長官は、「どんな理由があったにせよ、わが国への神聖な信頼を犯すことを選んだ。そのため、この人物をつきとめることを望んでいる。というのは、わが国の安全保障に甚大な損害と影響を与えているからだ」と述べていた。(c)AFP/Jim Mannion