【6月8日 AFP】中国国家主席に就任後、初めてとなるバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領との会談に間もなく臨む、習近平(Xi Jinping)氏。穏やかな笑みを浮かべながら児童に囲まれ歩き、軍艦の甲板で軍人に会釈する様子は中国の新たな自信そのものだ。

 オバマ氏が率いる米国は、世界的な影響力で中国を上回る唯一の国。中国が、米中関係を唯一の最も重要な二国間関係ととらえ、米国を主要なライバルとみていることは明らかだ。

 中国は習主席の下、米国の重要な同盟国である日本や他の近隣諸国との領土問題で、主張を強めている。通商問題やサイバー攻撃などの問題をめぐる議論では尻込みする様子はない。

 軍事規模・経済規模で世界2大大国の首脳が顔を合わせる7、8両日の会談では、個人的な信頼関係が構築されるものと米政府当局者は期待している。

 オバマ大統領と習主席は一見、全く異なる世界に属するようにみえるが、一部アナリストは、人生経験での共通項が互いを理解する上での土台になるとしている。

 香港中文大学(Chinese University of Hong Kong)のウィリー・ラム(Willy Lam)氏は両首脳を「本質的には大衆主義者」と表現する。

 オバマ大統領は歴史的なハンデを乗り越え、米国初の黒人大統領となった。一方、習主席は1966~76年の文化大革命(Cultural Revolution)中、苦難を経験した。革命のヒーローだった父親は中国共産党から追放され、習氏は教育を受けた多くの若者と同様、労働のため農村部へ送られた。

「習氏は中国で最も貧しい地域に入る農村に住んでいた。このため、ごく平凡な人々や農村部の人々、下級階級の人々の心に訴える大衆主義的な魅力がある」とラム氏は指摘する。

 オバマ氏と習氏はともに、長い道のりをへて世界の権力と権威の頂点に立った。米シンクタンク、ランド研究所(RAND Corporation)のスコット・ハロルド(Scott Harold)氏は「指導者の地位にあることの重荷だけでも両者を結び付けるのに十分だろう」と話す。

 一方、外交関係となると、個人的な見解よりも、国益が常に優先されるとの見方もある。習主席が掲げるスローガンは「中国の夢」であり、「中華民族の偉大な復興」だ。(c)AFP/Kelly Olsen