【5月25日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が無人機の使用についての新指針を発表したのを受け、パキスタン政府は24日、同国内での米国による無人機攻撃は違法であるとの見解を改めて表明した。

 オバマ大統領は23日、対テロ戦略に関する演説で、無人機による米国の秘密戦争は合法かつ正当であるとしながらも、無規律な無人機使用は権力の乱用を招くとも指摘。新指針の下での無人機攻撃は、差し迫った攻撃を阻止する場合、容疑者の拘束が不可能である場合、そして民間人の犠牲が「ほぼ確実」にない場合だけとした。

 パキスタン政府はこれに対し、オバマ大統領の認識のうち「軍事力だけでは安全を実現できない」などの幾つかの点に賛同するとしつつも、同国北西部の部族居住地域での無人機攻撃については、長年貫いてきた反対の公式見解を固持した。同国外務省は声明で、「無人機攻撃は逆効果で、罪のない民間人を巻き添えにし、人権・人道上の問題があり、国家主権と領土保全、国際法の原則に背くものであるとの見解を、パキスタン政府は常に維持してきた」と述べた。

 英国の非営利団体「調査報道局(Bureau of Investigative JournalismBIJ)」によると、米中央情報局(CIA)が2004年以降のパキスタンで行った、国際テロ組織のアルカイダ(Al-Qaeda)とパキスタンの反政府勢力タリバン(Taliban)の戦闘員を標的にした無人機攻撃では、3587人が死亡し、そのうち最大884人が民間人とみられている。

 オバマ大統領は自分が命令した攻撃で亡くなった民間人については、一生「苦悩する」ことになるだろうと述べたが、自分の方針は、アフガニスタンとパキスタンのアルカイダ幹部からの攻撃の脅威をなくすうえでは成功したと述べた。(c)AFP