【5月23日 AFP】国際原子力機関(International Atomic Energy AgencyIAEA)は22日、イランが核開発計画を拡大し、核兵器に転用可能なプルトニウムを製造できる新たな重水炉の建設を進めているとする新たな報告書を発表した。

 AFPが入手したIAEAの最新の四半期報告書によると、イランは中部ナタンツ(Natanz)のウラン濃縮施設に高性能の遠心分離機「IR-2m」を増設し、その数は2月時点の180基から約700 基になったという。いずれもまだ稼働してはいないが、イラン政府はナタンツに最終的に遠心分離機3000基を設置して濃縮ウラン製造を加速する計画だとしている。

 またIAEAは、プルトニウムの製造が可能だとして西側諸国が警戒感を強めている西部アラク(Arak)で建設中の重水炉についても、原子炉容器が「運び込まれたがまだ設置されていない」と報告した。また、「制御室の設備や燃料交換機、冷却ポンプなど主要機器の数々はまだ設置されていない」という。イランは2014年第3四半期にアラクの重水炉を稼働させるとしている。

 一方、シーア派の聖地コム(Qom)に近い山岳部にあるフォルド(Fordo)の地下核施設では、設置された遠心分離機の稼働は確認されなかったという。フォルドの施設では濃度20%の濃縮ウランを製造しており、技術的にはナタンツの濃度5%に比べて核兵器に必要とされる濃度90%にかなり近づいたとして、国際社会では懸念が高まっている。

 今回のIAEAの報告書によれば、イランは既に濃度20%の濃縮ウラン324キログラムを製造した。ただし、うち140.8キログラムは核燃料棒に加工されたという。専門家によると、核爆弾1個を製造するには約240~250キロの濃縮ウランが必要とされる。(c)AFP/Simon STURDEE