【5月10日 AFP】歴史的な総選挙を2日後に控え、最後の選挙運動が繰り広げられているパキスタンで9日、前首相の息子、アリ・ハイデル・ギラニ(Ali Haider Gilani)氏(27)が誘拐された。

 ギラニ氏は、同国パンジャブ(Punjab)州のムルタン(Multan)市郊外で、銃撃戦の中、拉致された。当局によると、ギラニ氏の秘書と警備担当者が死亡し、4人がけがをしたという。この誘拐に関する犯行声明は出ていない。

 ギラニ家はムルタン市における最大勢力の1つであり、またパキスタン人民党(Pakistan People's PartyPPP)の主要一族でもある。再選を目指す同党の選挙運動は、イスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(Tehreek-e-Taliban PakistanTTP)」からの脅迫行為により大きな抑圧を受けてきた。誘拐されたアリ・ハイデル氏は、PPPから州議会議員に立候補しており、また同氏の2人の兄弟も国会議員選挙に出馬している。

 タリバンはこの総選挙を反イスラム的だとして批判、11日の投票当日に攻撃する自爆者を送り込んでいるとしている。

 パキスタンでは、これまでの歴史の半分が軍事政権であり、今回の総選挙は民主的に実施される画期的な選挙と位置付けられている。しかし選挙運動はタリバンの脅迫と攻撃の被害を受け続けており、4月中旬以降少なくとも117人の死者を出している。(c)AFP/Abdul Sattar Qamar