【5月5日 AFP】マレーシア下院選の投票が5日行われた。世界でも有数の長期政権を維持してきた与党連合「国民戦線(Barisan Nasional)」は、徹底した改革を掲げて躍進する野党連合「人民連盟(Pakatan Rakyat)」に初めて敗北を喫する事態を何とか回避しようと努めている。

 全国で8000か所以上の投票所の中には1キロメートルもの有権者の列ができたところもあった。投票率は高いと予想され、これが野党にとって追い風になる可能性があるという専門家もいる。

 インターネットではナジブ・ラザク(Najib Razak)首相率いる政権が不公正な方法で選挙の勝利を目指していると非難する書き込みもある。首相は、不正投票対策で有権者の指につけるインクは落ちにくいと述べたが、簡単に落ちたという指摘も出ている。
 
 ナジブ首相が総裁を務める統一マレー国民組織(United Malays National OrganisationUMNO)を中心とした与党連合の国民戦線は、1957年の独立から今日まで政権の座を脅かされたことがない。ただ、元UMNOの有力政治家でカリスマ性を持つアンワル・イブラヒム(Anwar Ibrahim)元副首相が中心的役割を担う野党連合、人民連盟(People's Pact)は、2008年の下院選で歴史的な躍進を果たし、国中を驚かせた。

 投票は現地時間午後5時(日本時間同6時)に締め切られ、その後数時間で最初の暫定結果が出る見込み。野党側は、国民戦線が多数の選挙違反を行っていると厳しく批判し、選挙結果への不安感を示している。

 中でもアンワル氏は、選挙結果の操作を目的に、外国人の疑いがある「不審な」有権者が数万人規模で主要選挙区に旅客機で送り込まれたと主張。政権側は、投票促進活動の一環だと説明したものの、詳細への言及を避けている。ナジブ首相はこの日、外国人を動員していないとツィッター(Twitter)に投稿し、「選挙を公正に行う」と明言した。(c)AFP/M. Jegathesan