【4月29日 AFP】アイスランドの総選挙は28日に最終結果が発表され、中道右派の野党が勝利した。投票率は83.3%。投票総数19万4000票近くのうち、独立党(Independence Party)と進歩党(Progressive Party)で過半数を占め、国を経済破綻寸前に追い込んだ政治責任を問われて2009年に失脚した独立党が再び政権に返り咲く見通しとなった。

 独立党の得票率は26.7%で19議席を確保。進歩党も24.4%で同じく19議席を得た。これに対し与党・社会民主同盟(Social Democratic Party)の得票率は12.9%、獲得議席は9議席で、前回選挙で得た議席を半数以下に減らした。同党と連立を組む左翼環境運動(Left-Green Movement)も得票率10.9%、獲得議席はわずか7議席で、4年にわたった左派連立与党による緊縮政治に疲れ切ったアイスランド国民が、右派の独立党や中道農民政党の進歩党に政権をたくすことを選んだ形となった。

 オラフル・グリムソン(Olafur Grimsson)大統領は同日、選挙結果を受けたヨハンナ・シグルザルドッティル(Johanna Sigurdardottir)首相の辞意を受け入れたと発表。組閣に向けて29日から全党首との会談に臨むと語った。

 テレビ討論に出演した独立党のビャルニ・ベネディクトソン(Bjarni Benediktsson)党首(43)は、最多得票した政党は独立党であり「われわれは政府を率いる構えだ」と述べ、進歩党との連立を模索する考えを示した。

 だが、社会民主同盟などの左派政党は、グリムソン大統領から組閣の指名を受けるのは復活を果たした進歩党のシグムンドル・デービッド・グンラウグソン(Sigmundur David Gunnlaugsson)党首となるだろうと主張している。

 連立政権の樹立までには数日を要する見通しだ。

 独立党と進歩党はともにアイスランドのEU加盟に反対する立場であることから、両党の勝利により同国のEU加盟交渉は立ち消えとなる可能性がある。(c)AFP/Hugues HONORE