【4月18日 AFP】パキスタンの軍事政権を率いたペルベズ・ムシャラフ(Pervez Musharraf)元大統領が、2007年に発令した非常事態宣言下で最高裁長官をはじめとする判事らを解任した決定について審理していた首都イスラマバード(Islamabad)の高裁は18日、元大統領の逮捕を命じた。  

 パキスタンでは現在、ムシャラフ元大統領に対する3件の裁判が行われている。他の2件は、2007年のベナジル・ブット(Benazir Bhutto)元首相暗殺事件に関与した容疑と、2006年の軍事作戦中に起きたバルチ(Baluch)人の反政府勢力指導者の死をめぐるものだ。  

 ムシャラフ元大統領は08年に辞任に追い込まれた後、自主的に出国し、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ(Dubai)と英ロンドンで約4年間、事実上の亡命生活を送った後、5月11日に行われる総選挙に出馬すれば不逮捕特権が付与されると踏んで前月24日に帰国していた。  

 しかしパキスタンの裁判所は今週16日、ムシャラフ元大統領が起訴されていることを理由に、立候補を認めない決定を下した。同元大統領側は最高裁への上告を目指しているが、最高裁が決定を覆す見込みは少なく、同元大統領の政界復帰の野望は絶たれたとみられている。  

 帰国以来、ムシャラフ元大統領はカラチ(Karachi)、イスラマバード(Islamabad)、ラワルピンディ(Rawalpindi)の裁判所を行き来していたが、裁判所はこれまでは常に身柄拘束を猶予していた。  

 元大統領が実際に逮捕されるのか、またされるとすればいつかは定かでない。ムシャラフ元大統領は18日、大勢の治安要員に阻まれることなく、ボディガードに付き添われて、イスラマバードの裁判所からジープで立ち去った。警察によれば、イスラマバード郊外に所有する農場へ向かったという。(c)AFP/Nasir Jaffry