スー・チー氏、少数民族問題での「融和的アプローチ」を擁護
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【4月18日 AFP】ミャンマーの民主化運動の象徴で最大野党・国民民主連盟(NLD)党首のアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)氏は17日、都内で開いた記者会見で、自身の融和的な政治手法について、トップニュースになることよりも、いっそう統合された社会を築くことに焦点を置いていると説明した。
■「華やかな発言はしたくない」
今週日本を訪れているスー・チー氏は、ミャンマーの少数民族の窮状についてなぜもっと強く語らないのかと多くのインタビューで尋ねられたという。同氏は、少数民族などの問題についてはずっと取り組んでいるものの、その方法は人からは「つまらなく見えるかもしれない」と述べた。
「私は常に、少数民族について語ってきた。ただ、要するに私の発言は全ての人を喜ばせるほど華やかではなかったということだ」
「実際のところ、私は華やかな発言をしたいとはあまり思わない。発言がそれほど興味深いものでないため皆さんに気付いてもらえないのだとすれば、お詫びしたい。しかし、私の国の少数民族と国民和解については、多くの人につまらないと思われる話し方だったにしろ、たくさん語ってきた」
この発言の背景には、ミャンマーの軍事政権によって15年にわたって幽閉されてきたノーベル平和賞受賞者のスー・チー氏が、ミャンマーで起きている流血の事態についてほぼ沈黙を守っていることに対し、活動家らが失望を露わにしている現状がある。
ミャンマーでは昨年、西部ラカイン(Rakhine)州で仏教徒とイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)の衝突が発生し、多数が死亡、数万人が家を追われ避難生活を送っている。今年3月にはミャンマー中部でモスクとイスラム教徒の住宅が破壊され、少なくとも43人が殺害された。目撃者は非常に組織だった暴力行為だったと証言している。
国連はロヒンギャ人について、世界で最も迫害されている少数民族の一つだとしている。
■「法の支配」「対話」強調
スー・チー氏はロヒンギャの指導者たちに会い、その窮状を肌で感じたと語りつつ、「法の支配」の重要性を強調した。
「彼らが誰一人としてビルマ(ミャンマー)以外の国を知らないということは、実に悲しいことだ。別の土地への帰属感もないし、私たちの国にも属していないと彼らが感じさせられていることは何よりも悲しい。(しかし)ロヒンギャ人がわが国の国民か否かは、現存する国籍法の要件を満たしているかどうかに大きく左右される。そうなると今度は、この国籍法が国際的な水準に則しているかどうかを見て、評価しなければならない」
ただ、ロヒンギャ人の権利擁護を訴える非政府組織(NGO)「アラカン・プロジェクト(Arakan Project)」のディレクターで、タイのバンコク(Bangkok)を拠点に活動するクリス・レワ(Chris Lewa)氏によれば、ミャンマーのイスラム教徒の多くは、スー・チー氏がロヒンギャ人擁護の立場を単刀直入に打ち出さないことに失望しているという。
レワ氏はAFPの取材に対し、「ミャンマーにおける道徳的権威であるスー・チー氏のような人物は、少数民族の権利についてもっと明確に語るべきだ」と主張した。「スー・チー氏は法の支配についてよく語っているが、それでは不十分だ。われわれは少数民族を擁護しなければならない。ロヒンギャ人たちはスー・チー氏が自分たちの運命を好転させてくれるかもしれないと期待していたが、その役割を彼女が果たせるのかどうか、失望しつつある」
スー・チー氏は、ミャンマーを率い、対立する見解を議論できる社会を築きたいと切望している。「私はいつも、わが国は交渉の末に譲歩するという文化が乏しい国だと言ってきた。だが、これこそ私たちが成し遂げなければならないことだ。わが国が変わるときは、国内の異なる勢力間が合意することで変化が達成されるようにしたい」。こう述べたスー・チー氏は、現在のテイン・セイン(Thein Sein)大統領の政権については、やるべきことの優先順位や手順といった改革を主導するための「構造」に欠けると評した。(c)AFP/Hiroshi Hiyama
■「華やかな発言はしたくない」
今週日本を訪れているスー・チー氏は、ミャンマーの少数民族の窮状についてなぜもっと強く語らないのかと多くのインタビューで尋ねられたという。同氏は、少数民族などの問題についてはずっと取り組んでいるものの、その方法は人からは「つまらなく見えるかもしれない」と述べた。
「私は常に、少数民族について語ってきた。ただ、要するに私の発言は全ての人を喜ばせるほど華やかではなかったということだ」
「実際のところ、私は華やかな発言をしたいとはあまり思わない。発言がそれほど興味深いものでないため皆さんに気付いてもらえないのだとすれば、お詫びしたい。しかし、私の国の少数民族と国民和解については、多くの人につまらないと思われる話し方だったにしろ、たくさん語ってきた」
この発言の背景には、ミャンマーの軍事政権によって15年にわたって幽閉されてきたノーベル平和賞受賞者のスー・チー氏が、ミャンマーで起きている流血の事態についてほぼ沈黙を守っていることに対し、活動家らが失望を露わにしている現状がある。
ミャンマーでは昨年、西部ラカイン(Rakhine)州で仏教徒とイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)の衝突が発生し、多数が死亡、数万人が家を追われ避難生活を送っている。今年3月にはミャンマー中部でモスクとイスラム教徒の住宅が破壊され、少なくとも43人が殺害された。目撃者は非常に組織だった暴力行為だったと証言している。
国連はロヒンギャ人について、世界で最も迫害されている少数民族の一つだとしている。
■「法の支配」「対話」強調
スー・チー氏はロヒンギャの指導者たちに会い、その窮状を肌で感じたと語りつつ、「法の支配」の重要性を強調した。
「彼らが誰一人としてビルマ(ミャンマー)以外の国を知らないということは、実に悲しいことだ。別の土地への帰属感もないし、私たちの国にも属していないと彼らが感じさせられていることは何よりも悲しい。(しかし)ロヒンギャ人がわが国の国民か否かは、現存する国籍法の要件を満たしているかどうかに大きく左右される。そうなると今度は、この国籍法が国際的な水準に則しているかどうかを見て、評価しなければならない」
ただ、ロヒンギャ人の権利擁護を訴える非政府組織(NGO)「アラカン・プロジェクト(Arakan Project)」のディレクターで、タイのバンコク(Bangkok)を拠点に活動するクリス・レワ(Chris Lewa)氏によれば、ミャンマーのイスラム教徒の多くは、スー・チー氏がロヒンギャ人擁護の立場を単刀直入に打ち出さないことに失望しているという。
レワ氏はAFPの取材に対し、「ミャンマーにおける道徳的権威であるスー・チー氏のような人物は、少数民族の権利についてもっと明確に語るべきだ」と主張した。「スー・チー氏は法の支配についてよく語っているが、それでは不十分だ。われわれは少数民族を擁護しなければならない。ロヒンギャ人たちはスー・チー氏が自分たちの運命を好転させてくれるかもしれないと期待していたが、その役割を彼女が果たせるのかどうか、失望しつつある」
スー・チー氏は、ミャンマーを率い、対立する見解を議論できる社会を築きたいと切望している。「私はいつも、わが国は交渉の末に譲歩するという文化が乏しい国だと言ってきた。だが、これこそ私たちが成し遂げなければならないことだ。わが国が変わるときは、国内の異なる勢力間が合意することで変化が達成されるようにしたい」。こう述べたスー・チー氏は、現在のテイン・セイン(Thein Sein)大統領の政権については、やるべきことの優先順位や手順といった改革を主導するための「構造」に欠けると評した。(c)AFP/Hiroshi Hiyama