【4月18日 AFP】(一部更新)米上院は17日、超党派議員らが提出した銃購入希望者の犯罪歴調査の適用範囲を拡大する銃規制法案を否決した。昨年12月にコネティカット(Connecticut)州ニュータウン(Newtown)の小学校で起きた銃乱射事件を受け、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領が後押ししてきた銃規制厳格化の動きは、その前進を大きく阻まれた。

 本法案は、銃購入希望者の犯罪歴調査を、銃の展示即売会やインターネット販売の際にも拡大することを定めたもの。承認に必要な票数は60だったが、賛成46、反対54の反対多数で否決された。民主党上院議員のうち、2014年の選挙で厳しい再選見通しの議員や、銃所持支持派が多い州の選出議員が反対に流れたことが要因の一つとみられる。

 2011年にアリゾナ(Arizona)州トゥーソン(Tucson)で起きた銃乱射事件で一命を取り留めたパトリシア・マイシュ(Patricia Maisch)さんは、採決を傍聴席から見守っていた。否決を受けてマイシュさんは、「恥を知れ!」と叫び、議場からの退出を求められた。トゥーソンの事件では、6人が死亡、ガブリエル・ギフォーズ(Gabrielle Giffords)元下院議員も重傷を負った。マイシュさんは、ニュータウンでの事件を含む複数の銃乱射事件の被害者とその親族として、本法案が上院で承認されるのを自らの目で見たいと集まった人たちの1人だった。

 だが上院議会は、憲法が認める米国民の銃所時の権利の阻害につながる可能性のある法律の制定に対し、深い懸念を抱いていることを改めて示した。

■「ワシントンにとって恥ずべき日」

 法案の否決を受け、ホワイトハウス(White House)で記者会見したオバマ大統領は、「ワシントンにとって恥ずべき日だ」と述べ、銃のロビー団体に屈した上院議員らを非難。銃規制を目指す努力を続けていくことを約束した。

 ニュータウンの小学校銃乱射事件で犠牲になった児童の遺族など、銃暴力の被害者の親族に囲まれたオバマ大統領は、普段にはない直接的な言葉で強い憤りをあらわにしながら会見に臨んだ。

「筆舌に尽くしがたい悲しみを胸にした遺族らは、勇気を振り絞って、自分たちが選出した議員に対し、自らの子どもたちの思い出に敬意を示すだけではなく、米国の全ての子どもたちの命を守ってほしいと懇願してきた。上院の少数派は数分前、これに価値はないとする決定を下した」

「銃ロビー団体とその協力者らは、この妥協案を支持する代わりに、法案について意図的に嘘をついた」

 一方で、「これは1回戦にすぎないと考えている」として、改革のための戦いを継続することを誓った。(c)AFP