【4月11日 AFP】ミシェル・オバマ(Michelle Obama)米大統領夫人は10日、地元シカゴ(Chicago)で行った演説で、自分も若い頃に銃犯罪で命を失っていたかもしれないと述べ、涙ながらに銃規制を強く訴えた。ミシェル夫人が米国内の政治議論にここまで直接的に言及するのは異例だ。

 シカゴで開かれた昼食会で青少年犯罪について演説したミシェル夫人は、今年1月のバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領の就任式でマーチングバンドの演奏を披露したシカゴの高校生、ハディヤ・ペンドルトン(Hadiya Pendleton)さん(15)が、その1週間後に公園で何者かに銃で撃たれて死亡した事件に触れ、シカゴ市議や市当局者らに対し、銃犯罪で若い命が奪われることのない建設的な方法を探そうと訴えた。
 
 夫人はまた、ペンドルトンさんの葬儀に参列した際、遺族がミシェル夫人のことをとても身近に感じてくれていたことが忘れられないとコメント。涙を流して次のように語った。

「ハディヤは私だったかもしれないし、私が彼女だったかもしれない。私は無事に成長してプリンストン大学に進学し、ハーバード大学法科大学院で学び、家庭を持ち、かつて想像もできなかった恵まれた人生を送っている。でも、ハディヤはどうなったか。みなさんもご存知でしょう」

 さらに夫人は自身の子ども時代のシカゴがいかに危険だったかを説明。「これは地球の裏側の戦場での話ではありません。私たちが故郷と呼ぶ街で起きていることなんです」と述べ、オバマ大統領は銃の暴力から子どもたちを守るため全力を尽くしていると訴えた。

 米国では、大統領夫人が政治問題に踏み込んで発言することはまれだ。1990年代のビル・クリントン(Bill Clinton)大統領時代には、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)夫人が医療保険改革に関与し、幅広い層から批判を買っている。

■ネットや見本市でも銃購入者の身元確認、超党派合意

 一方、米上院では10日、銃購入者の身元確認を見本市やインターネットでの銃販売にも拡大することで民主・共和両党が合意に至った。上下院で可決されれば、1994年以来の大規模な銃規制改革となる。

 コネティカット州(Connecticut)ニュータウン(Newtown)の小学校で起きた銃乱射事件を受け、オバマ政権が目指していた包括的で全国共通の身元確認までは至らなかったものの、オバマ大統領は「超党派の著しい進歩だ」と評価し、一層の努力を呼び掛けた。(c)AFP