【4月2日 AFP】世界最大規模の自由貿易圏構築に向けて欧州連合(EU)と米国が準備を進める中、米国は1日、EUが米国の遺伝子組み換え(GM)作物に対して「不必要」な規制を行っているとして非難した。

 米通商代表部(USTR)は、衛生・植物検疫の貿易障壁を軽減させることを目指した報告書の中で、「欧州食品安全機関(European Food Safety AuthorityEFSA)が肯定的な評価を下したにもかかわらず」、EUによる規制の結果、新GM品種の承認が遅れていると批判。さらに、EUのGM食品トレーサビリティ&ラベリング規制が「商業的に実行不可能な要求」であると苦言を呈した。

「諸外国の政府は米国の農作物輸出に対して差別的あるいは不当な対策を続けている」と、USTRのデメトリオス・マランティス(Demetrios Marantis)代表代行は語った。

「これらの障壁は、米国の牧場経営者や農家に害を及ぼすのみならず…安全で高品質な米国食品と農作物の入手可能性を世界中の消費者から奪うものだ」(デメトリオス・マランティスUSTR代表代行)

■米EU自由貿易圏交渉、GM作物も対象に

 米国とEUは世界最大の自由貿易圏構築に向けた交渉入りを計画しているが、そこには政治的に慎重な対応が求められる遺伝子組み換え作物の取り扱いも含まれている。

 米国では遺伝子組み換え作物が広く認められているが、EUでは厳しく規制されている。ドイツやフランスを含むEU加盟8か国は、遺伝子組み換え作物を排除する方針だ。

 USTRは、「遺伝子組み換え作物を非遺伝子組み換え作物のそばに植える際の共存要件について、一部のEU加盟国は不必要で負担の大きい要件を定めている」と指摘した。

 先月、匿名を条件に取材に応じたフランス当局高官は、予定されている貿易交渉において、遺伝子組み換え作物が交渉内容に含まれることをフランス政府は望んでいない、と語っていた。(c)AFP