チャベス大統領の遺体、永久保存チームをロシアから?
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【3月12日 AFP】遺体から血液をすべて抜く作業は「見られたものではない」と言われるが、もしもベネズエラ政府が故ウゴ・チャベス(Hugo Chavez)大統領の遺体の保存処理に助けを必要とするならば、革命の指導者ウラジーミル・レーニン(Vladimir Lenin)の遺体を永久保存しているロシアが、頼るべき専門技術を持っている。
ベネズエラ当局は前週、「レーニンのように」故チャベス大統領の遺体に防腐処置を施すと発表した。ロシア革命を率いた旧ソ連の指導者レーニンの遺体は1924年の死後、モスクワ(Moscow)の赤の広場(Red Square)にある「レーニン廟(びょう)」に永久保存されている。
しかしチャベス大統領の下、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)政権と緊密な関係を築いたベネズエラが目下、ロシアの専門家に助力を求めているのか、あるいは今後そういうことがあるのかは定かでない。
レーニンの遺体を保存・管理するロシアのチームの一員であるユーリ・デニソフニコルスキ(Yuri Denisov-Nikolsky)氏はAFPの取材に対し非公式に答え、ベネズエラ政府からはそういった要請は今のところないが、もしもあればロシアの専門家たちには喜んで応じる用意があると語った。
旧ソ連時代にレーニンの遺体の保存に携わった別の専門家は8日、タス通信(ITAR-TASS)に対し「ロシアの遺体保存技術は間違いなく一級品だ」と保証した。デニソフニコルスキ氏も「われわれが顧客を落胆させたことはない」と同意しつつ、ベネズエラ政府にはキューバに頼るという選択肢もあると述べた。キューバは1952年、アルゼンチンのフアン・ペロン(Juan Peron)大統領(当時)の夫人で、「エビータ(Evita)」の愛称で親しまれたエバ・ペロン(Eva Peron)さんの遺体の防腐処置を請け負った。
現在、全ロシア薬用・芳香植物研究所(All-Russian Research Institute of Medicinal and Aromatic Plants)と名称を変更した研究所が持っている技術は、冷戦中から冷戦後にかけてモスクワ寄りの各国指導者の遺体の防腐処置に用いられた。ブルガリア共産党の指導者ゲオルギ・ディミトロフ(Georgy Dimitrov、1949=死亡年、以下同)、旧ソ連の独裁者ヨシフ・スターリン(Joseph Stalin、1953)、旧チェコスロバキアのクレメント・ゴットワルト(Klement Gottwald)大統領(1953)、ベトナムの指導者ホー・チ・ミン(Ho Chi Minh、1969)、アンゴラのアゴスティーニョ・ネト(Agostinho Neto)大統領(1979)、ガイアナのフォーブス・バーナム(Forbes Burnham)首相 (1985)、北朝鮮の金日成(Kim Il-Sung)主席(1994)、最近ではその息子の金正日(Kim Jong-Il)総書記(2011)などだ。
金正日総書記の死後、同研究所のパベル・フォメンコ(Pavel Fomenko)氏は専門家として珍しく露紙モスコフスキ・コムソモレツ(Moskovsky Komsomolets)のインタビューに応じ、遺体防腐処置について詳述した。「見られた作業ではない。最初は(3~7人の専門家チームが)すべての内臓を除去し、血管を溶液で満たし、組織から血液を抜く。遺体は白い布で巻かれ、防腐剤の溶液で満たしたガラス製の浴槽に浸けられ」、温度と湿度を適切に保った状態で槽にふたをして保管されるという。「遺体の細胞の中の水分が、徐々に溶液と置き換わる。防腐処置は約6か月にも及ぶ」
レーニンの遺体はまたガラスケースに入っており、バクテリアの脅威からも守られている。週2回点検を受け、1年半に一度は約1か月間にわたって再び防腐剤の溶液に浸されている。モスコフスキ・コムソモレツ紙によれば、ロシアのチームが防腐処置を手掛けた各国の指導者で、今もレーニン同様、「当時の状態のまま」保存されているのは、ホー・チ・ミンと金日成主席だけだという。
ちなみにレーニンに関しては2012年のあるロシアでの世論調査によると、回答者の56%が埋葬したほうが良いと答え、28%が埋葬に反対、残りは「分からない」と答えた。しかし最近では国民的議論として取り上げられることさえめったになくなっている。(c)AFP/Luc PERROT
ベネズエラ当局は前週、「レーニンのように」故チャベス大統領の遺体に防腐処置を施すと発表した。ロシア革命を率いた旧ソ連の指導者レーニンの遺体は1924年の死後、モスクワ(Moscow)の赤の広場(Red Square)にある「レーニン廟(びょう)」に永久保存されている。
しかしチャベス大統領の下、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)政権と緊密な関係を築いたベネズエラが目下、ロシアの専門家に助力を求めているのか、あるいは今後そういうことがあるのかは定かでない。
レーニンの遺体を保存・管理するロシアのチームの一員であるユーリ・デニソフニコルスキ(Yuri Denisov-Nikolsky)氏はAFPの取材に対し非公式に答え、ベネズエラ政府からはそういった要請は今のところないが、もしもあればロシアの専門家たちには喜んで応じる用意があると語った。
旧ソ連時代にレーニンの遺体の保存に携わった別の専門家は8日、タス通信(ITAR-TASS)に対し「ロシアの遺体保存技術は間違いなく一級品だ」と保証した。デニソフニコルスキ氏も「われわれが顧客を落胆させたことはない」と同意しつつ、ベネズエラ政府にはキューバに頼るという選択肢もあると述べた。キューバは1952年、アルゼンチンのフアン・ペロン(Juan Peron)大統領(当時)の夫人で、「エビータ(Evita)」の愛称で親しまれたエバ・ペロン(Eva Peron)さんの遺体の防腐処置を請け負った。
現在、全ロシア薬用・芳香植物研究所(All-Russian Research Institute of Medicinal and Aromatic Plants)と名称を変更した研究所が持っている技術は、冷戦中から冷戦後にかけてモスクワ寄りの各国指導者の遺体の防腐処置に用いられた。ブルガリア共産党の指導者ゲオルギ・ディミトロフ(Georgy Dimitrov、1949=死亡年、以下同)、旧ソ連の独裁者ヨシフ・スターリン(Joseph Stalin、1953)、旧チェコスロバキアのクレメント・ゴットワルト(Klement Gottwald)大統領(1953)、ベトナムの指導者ホー・チ・ミン(Ho Chi Minh、1969)、アンゴラのアゴスティーニョ・ネト(Agostinho Neto)大統領(1979)、ガイアナのフォーブス・バーナム(Forbes Burnham)首相 (1985)、北朝鮮の金日成(Kim Il-Sung)主席(1994)、最近ではその息子の金正日(Kim Jong-Il)総書記(2011)などだ。
金正日総書記の死後、同研究所のパベル・フォメンコ(Pavel Fomenko)氏は専門家として珍しく露紙モスコフスキ・コムソモレツ(Moskovsky Komsomolets)のインタビューに応じ、遺体防腐処置について詳述した。「見られた作業ではない。最初は(3~7人の専門家チームが)すべての内臓を除去し、血管を溶液で満たし、組織から血液を抜く。遺体は白い布で巻かれ、防腐剤の溶液で満たしたガラス製の浴槽に浸けられ」、温度と湿度を適切に保った状態で槽にふたをして保管されるという。「遺体の細胞の中の水分が、徐々に溶液と置き換わる。防腐処置は約6か月にも及ぶ」
レーニンの遺体はまたガラスケースに入っており、バクテリアの脅威からも守られている。週2回点検を受け、1年半に一度は約1か月間にわたって再び防腐剤の溶液に浸されている。モスコフスキ・コムソモレツ紙によれば、ロシアのチームが防腐処置を手掛けた各国の指導者で、今もレーニン同様、「当時の状態のまま」保存されているのは、ホー・チ・ミンと金日成主席だけだという。
ちなみにレーニンに関しては2012年のあるロシアでの世論調査によると、回答者の56%が埋葬したほうが良いと答え、28%が埋葬に反対、残りは「分からない」と答えた。しかし最近では国民的議論として取り上げられることさえめったになくなっている。(c)AFP/Luc PERROT