【3月4日 AFP】ケニアで4日、大統領選の投票が行われ、大勢の有権者が明け方前から投票所に列をつくった。暴動に発展した前回大統領選から5年ぶりの選挙となったが、今回の選挙でも、すでに警察官が発砲されて死亡する事件が発生している。

 接戦となっている選挙は、ケニアにとって重要な試金石となるみられている。指導者らは2007年から08年にかけて約1100人が死亡した大統領選後の暴動を再び起こさないことを誓っているが、選挙監視団は選挙が新たな衝突を生む危険性を繰り返し指摘してきた。

 ケニア第2の都市モンバサ(Mombasa)では、分離独立派とされる武装集団が投票所の開場前に警察官を襲撃し、警察官5人が死亡した。ケニア警察庁のデビッド・キマイヨ(David Kimaiyo)長官は「モンバサ共和評議会(Mombasa Republican CouncilMRC)とみられる集団と衝突し、双方に死者が出た」と語った。

 だが、襲撃事件の発生にもかかわらず、市内の投票所は有権者で大混雑となった。「私たちは心配していない。私たちは投票する」と、幼稚園に設置された投票所の列に並びながら有権者の一人は語った。

 2007年の選挙後、最大規模の民族衝突が起きた首都ナイロビ(Nairobi)の貧困地区キベラ(Kibera)では、投票開始が1時間近く遅れ、投票所には数千人が並んだ。

 今回の総選挙はケニア史上最も複雑な選挙だ。有権者は大統領、国会議員、知事など合計6つの投票を行う。登録有権者は1430万人で、投票所は全国3万か所が設置される。

 選挙はライラ・オディンガ(Raila Odinga)首相とウフル・ケニヤッタ(Uhuru Kenyatta)副首相が接戦を繰り広げている。だが、ケニヤッタ副首相とウィリアム・ルト(William Ruto)副大統領候補は国際刑事裁判所(ICC)に提訴されており、ケニヤッタ氏が勝利した場合には、大統領就任後も裁判で長時間拘束される可能性がある。(c)AFP/Peter Martell