【3月3日 AFP】米国で強制的な歳出削減措置が1日に発動したことを受けてバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は、2日に行った週末のラジオとインターネットの演説の中で、「肉切り包丁」を振るわずに財政赤字を削減する方策を早急に見いだすよう議会に求めた。
 
 オバマ大統領は本年度の連邦政府支出を850億ドル(約8兆円)減らす代わりに、改革を伴う「賢い」支出削減というバランスの取れたアプローチを取るよう呼びかけた。

 経済学者は、強制的な歳出削減が行われれば多くの人が職を失う可能性があり、未だ脆弱(ぜいじゃく)なアメリカ経済の成長を妨げかねないと警告している。今すぐに全ての米政府機関の歳出がカットされるわけではないが、大きな危険が伴う事態が迫りつつあるのは事実だ。

 オバマ大統領は2日の演説の中で、国の財政赤字に対する問題解決にはまだ時間があると述べ、給付金改革などで支出を抑えれば、増税を行うことなく、家庭や企業に対しより公平な措置を取ることができるとして、バランスのとれた緊縮策を行うべきだと主張した。

 ここには、高齢者や貧困世帯の医療サービスなど様々な社会制度における支出の見直しを行いたいというオバマ大統領の思惑も感じられるが、民主党の多くの議員はこれに難色を示している。富裕層に利益をもたしているとオバマ大統領が主張している税の抜け穴をふさぎたいという同大統領の意図もみてとれる。

 しかし昨年末の財政危機において富裕層への増税を受け入れた共和党は、財政赤字の縮小は歳出削減のみで行うべきだと主張している。(c)AFP/Stephen Collinson