【2月6日 AFP】英下院は5日、イングランドとウェールズで同性同士の結婚を認める法案を400対175の賛成多数で可決した。だが同法案には反対する声も強く、デービッド・キャメロン(David Cameron)首相が率いる保守党は半数以上の議員が賛成しなかった。

 まだ上院での審議などが残っているものの、同法案が成立すれば、英国は同性婚を認める世界10か国の仲間入りをすることになる。キャメロン首相は同性婚を認めることにより「英国の社会はより強くなる」として法案を推進してきたが、投票に先立ち1日かけて行われた審議では、反対派議員らが法案を批判し、議論はしばしば白熱した。

 法案は連立与党の自由民主党と野党・労働党議員の圧倒的な支持を受けて可決されたが、キャメロン首相率いる保守党は所属議員に党議拘束をかけず、保守党の下院議員303人のうち賛成票を投じたのは127人にとどまり、136人が反対票を投じた。残る40人は棄権するなどして投票しなかった。

 保守党のオーウェン・パターソン(Owen Paterson)環境・食糧・農村地域相とデービッド・ジョーンズ(David Jones)ウェールズ相の2閣僚も反対票を投じ、フィリップ・ハモンド(Philip Hammond)国防相とドミニク・グリーブ(Dominic Grieve)法務長官は投票しなかった。

 英国の同性カップルには2005年から市民パートナーシップ(civil partnership)を結ぶ権利が認められているが、結婚は認められていない。

 英国民の大半は同性婚を支持しているが、同性婚を強く支持するキャメロン首相の姿勢は2015年の総選挙で保守党の支持を減らす可能性があるとの世論調査結果も出ている。

 英国では同性婚をめぐってフランスで見られるような激しい抗議運動は起きていない。フランス国民議会(下院)は2日、同性カップルの結婚と養子縁組を認める法案の主要条項を圧倒的な賛成多数で可決している。(c)AFP/Danny Kemp