【1月29日 AFP】パリ和平協定(The Paris Accords)調印から40年となる2013年、ベトナムでは各国との祝賀行事が多数開催される──多くの社会主義国と同様に盛大な祝賀行事を好む同国だが、目白押しとなる祝賀行事の数々にベテラン外交官でさえも不安を募らせている。

 1973年1月27日、南北両ベトナム、解放戦線、米国の4者がパリ和平協定(The Paris Accords)に調印し、ベトナム戦争は翌28日に停戦が発効した。これを契機にベトナムと世界各国との関係改善は進み、首都ハノイ(Hanoi)では協定調印から1年以内に21か国の大使館が設置された。その中でも、オーストラリアやウガンダ、シンガポール、フィンランド、バングラデシュなどはベトナム高官を迎えて祝賀行事を開催することに積極姿勢を示している。

 ただこうした外交行事の連続は、広く歓迎されるわけではない。各国の祝賀行事企画に協力している外交官は匿名を条件にAFP通信に対して、「(最高)幹部は何もする必要がないので何も問題ないが、われわれは入念に準備しなければならない」と不満を漏らし、「同じ決まり文句をほぼ全ての(外交)使節団相手に繰り返さなければならないのは退屈極まりないが、これを改善する手立ては何もない」と付け加えた。外交官はその上で、「仕事だと分かっていても、全ての行事に出席すると消耗してしまう」とコメントした。

 ファッションショーとささやかな福引きを企画している英国から、記念オペラの公演を予定している日本まで、各国は祝賀行事でベトナム側の注目を集めたい意向だ。自国の祝賀行事の準備に携わり、その後はベトナム外務省関係者の招待に奔走しているアジアの外交官は、「競争は非常に厳しく、ベトナムの高官から出席の確約を得るのは難しい」とため息をついた。

 シンガポールは、記念切手の発行と美術展、さらには首相訪問を予定。オーストラリアの駐ベトナム大使は、自国の「創造性と多様性」を披露する行事を開催すると語っている。

 ベトナムの外交官らが祝賀行事への出席意欲を失いつつある中、ハノイ市内のサービス業は小規模ながら今後好況が予想されるとして歓迎の姿勢を示している。歴史のあるメトロポール・ホテル(Metropole Hotel)の支配人は、AFP通信に対し「ハノイへの関心が高まるのは間違いない。公務出張が増えるだろう」と期待感を表明した。

 今年ベトナムで外交祝賀行事が集中しているのは、同国の全方位外交に負うところが大きい。専門家は「あらゆる国との友好関係と言えばありふれているように聞こえるが、現実に目を向けると(ベトナムは)非常にうまくやっている」と指摘している。(c)AFP/Cat Barton