【12月26日 AFP】エジプトの選挙管理委員会は25日、カイロ(Cairo)で記者会見を開き、国民投票で賛否が問われた新憲法案は賛成63.8%で承認されたと発表した。投票率は32.9%だった。

 ヒシャム・カンディール(Hisham Qandil)首相は声明で「この国民投票に敗者はいない。この憲法はわれわれ全国民のためのものだ」と述べ、経済を立て直すため政府に協力するよう全ての政治勢力に求めた。

 一方、投票で不正があったとして正式に異議申し立てを行った反ムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)大統領派の連合体「国民救済戦線(National Salvation Front)」は、投票結果を受け入れないという立場をあらためて示し、国民投票は1つの戦いにすぎず今後も「エジプト国民のための戦いを続ける」としている。

 野党側は、投票率が低かったことから新憲法の正統性に疑問を投げかけるとともに、ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)やサラフィスト系の団体が憲法案のいくつかの条項にみられるあいまいな文言を利用して厳格なイスラム法を紛れ込ませようとしていると主張している。また野党勢力や国連(UN)の人権機関トップから新憲法は女性や非イスラム教徒の権利を弱めるという批判も出ている。

 憲法草案などをめぐって5日に起きた衝突では数百人が負傷し、これまでに8人が死亡しているが、そのような不安定な状況が今後も続く可能性がある。米国務省のパトリック・ベントレル(Patrick Ventrell)報道官は、モルシ大統領にはエジプト国内にある分断の橋渡しをして信頼を醸成し、政治プロセスに広い支持を集める責任があるとする声明を発表した。(c)AFP/Marc Burleigh