【11月27日 AFP】南アフリカのジェイコブ・ズマ(Jacob Zuma)大統領とその家族が、大統領の続投を祈願するために地元の村で行った伝統儀式で12頭の牛をいけにえにしたと、同国のメディアが26日に報じた。

 現地紙タイムズ(The Times)によると、地元クワズール・ナタール州(KwaZulu-Natal)ヌカンドラ(Nkandla)村の儀式では一族の長老が、12月に行われるアフリカ民族会議(African National CongressANC)の議長選においてライバル候補からズマ大統領を守り導くよう、先祖に祈とうしたという。また同国の日刊紙スター(The Star)は、出席者には牛の丸焼きと伝統的な醸造酒が振る舞われたと伝えている。

 タイムズ、スター両紙は1面に、ズマ大統領がヒョウ革でできたズールー(Zulu)戦士の装束を身にまとい、槍と盾を振り回している姿を掲載した。ANCの関係者はこの儀式には参加しなかった。

 ANCの次期議長選が迫る中、ズマ大統領支持者の一部はこの数か月間、鞍替えしてカレマ・モトランテ(Kgalema Motlanthe)副議長の支持にまわり、公然とズマ大統領の退陣を求めている。経済の停滞や高い失業率、汚職問題など喫緊の課題が目白押しの中、ズマ大統領はリーダーシップを問われて非難され、再選に向けて苦戦している。

 また今回儀式が行われたズマ大統領の地元のンカンドラ村には、警備システムに2千800万ドル(約23億円)を投じたとされる大統領の自宅があり、議論を呼んでいる。

 支持率の低迷にもかかわらず、政治評論家らはズマ大統領のANC議長再選を予想しており、また南アでは与党ANCが圧倒的優勢にあることから、2014年の大統領選でも必然的に再選されるだろうとみている。(c)AFP