【11月25日 AFP】エジプトでムハンマド・モルシ(Mohammed Mursi)大統領が大統領権限を強化する新たな憲法宣言(暫定憲法)を発令したことへの抗議活動が激しさを増す中、反発する司法当局者のグループが24日、大統領に宣言撤回を要求するとともに、全国規模の抗議ストライキを呼び掛けた。

 エジプト全国の判事を代表する同国判事クラブは同日、大統領による「エジプトの司法に対する猛烈な攻撃」に対応するため、数時間にわたって最高裁で緊急会合を開き、「すべての裁判所と検察機関」に業務中断を呼び掛けた。

 判事クラブはモハメド・エルバラダイ(Mohamed ElBaradei)前国際原子力機関(IAEA)事務局長が率いる市民グループの他、ハムディーン・サバヒ(Hamdeen Sabbahi)氏やアムル・ムーサ(Amr Mussa)元外相、アブドルムネイム・アブールフトゥーフ(Abdel Moneim Abul Fotouh)氏の元大統領候補3氏と会談した後、モルシ大統領が憲法宣言を撤回するまではいかなる対話もありえないとする共同声明を発表した。

 最高裁に近い首都カイロ(Cairo)市内のタハリール広場(Tahrir Square)では、野宿しながら抗議活動を続けていた反大統領勢力が、警察が発射した催涙ガスで解散させられた。欧米諸国の政府は、エジプトの政治危機に懸念を募らせている。

 大統領の憲法宣言を批判した司法当局関連のグループは複数あり、中でも司法機関の業務を監督する最高司法評議会は「司法とその判決の独立に対する前例のない攻撃」だとして、宣言を厳しく非難した。

 大統領は既に行政権と立法権を掌握しているが、22日発令の憲法宣言は、新憲法が国民投票で批准されるまでの暫定措置として、大統領が司法権を超越した権限を持つことを定めている。イスラム勢力が多くを占める新憲法起草員会について、これ以上構成は変えられないものとし、起草期限を2か月延長して来年2月までとすることも盛り込んでいる。(c)AFP/Haitham El-Tabei