【10月23日 AFP】22日行われた米大統領選の第3回テレビ討論で、現職のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領が、共和党のミット・ロムニー(Mitt Romney)候補と外交政策をテーマに激論を交わした。

 大統領選の本選まで残すところ約2週間。接戦州での浮動票の取り込みを狙い、支持率が拮抗している2人はこの日、イランの核開発計画からアラブの春、リビアやシリア情勢まで外交政策をめぐり激突した。

 オバマ氏はロムニー氏が掲げる外交政策が二転三転している点を突き、「中東であれ、アフガニスタンであれ、イラク、イランであれ、すべてにおいてあなたの言うことはばらばらだ」と述べ、米国大統領が兼ねる米軍最高司令官に必要な一貫性に欠けていると厳しく批判した。

 またオバマ氏の大統領就任以降、米軍が20世紀初頭のレベルにまで縮小したとのロムニー氏の批判に対しては、「例えばあなたは海軍が1916年よりも少ない艦船しか持っていないとおっしゃった。それはそうですよ、知事(注:ロムニー氏は前マサチューセッツ州知事)。馬や銃剣も昔より減っています。わが軍の性質は変化しているのです」と、あからさまにからかうように反論した。

 オバマ氏の言葉に聴衆から笑いが起こると、オバマ氏はさらに「われわれには軍用機が着陸する空母というものがあります。また水中に沈む原子力潜水艦というものもあります。艦船の数が問題ではないのです。問題はわが軍の能力です」と追いうちをかけた。

 対するロムニー氏は、アラブの春やシリア、イランなど中東情勢に関するオバマ政権の政策全般を批判した。ただ最高司令官としての資質も問われたこの討論の中で、ロムニー氏は自身の発言がより穏健に聞こえるよう慎重を期し、保守的な立場と距離を置く姿勢も見られた。外交政策自体に関しては、オバマ大統領とは語り口が違うだけで、さほど違いがないようにさえ見えた。

 テレビ中継ではオバマ氏の外交政策を批判するロムニー氏と、困惑したり、時に懐疑的な表情を浮かべるオバマ氏の顔が、左右2分割の画面に映し出された。

 オバマ氏はさらに「あなたは外交政策を実行する立場にいた経験がない。何かを主張するたびにあなたはいつも間違っている」と切り捨てた。また共和党のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領の下で侵攻したイラクから米軍を撤退させたオバマ氏は、ロムニー氏が米軍の駐留継続を支持した過去の発言も引き合いに出した。

 10月初旬に行われた第1回テレビ討論では冴えなかったオバマ氏に対してロムニー氏が優位に立った。以来、世論調査での支持率は互角で、接戦州でオバマ氏の基盤が徐々に崩れてもいた。しかし第2回討論ではオバマ氏が巻き返したため、今回は決着をつける一戦となった。選挙の争点は低迷する経済であることから外交政策が決め手となる可能性は少ないが、ここへ来て失言が続いているロムニー氏は、基本的な適性を示す必要に迫られている。(c)AFP/Michael Mathes