【10月12日 AFP】レバノンのイスラム教シーア派原理主義組織ヒズボラ(Hezbollah)の指導者ハッサン・ナスララ(Hassan Nasrallah)師は11日、イスラエル空軍機が6日に撃墜した無人機はヒズボラが送り込んだものだったと明らかにした。この無人機は地中海(Mediterranean Sea)から侵入し、イスラエル南部のネゲブ(Negev)砂漠で撃墜されていた。

 ナスララ師はヒズボラ系テレビ、アルマナル(Al-Manar)で「最新鋭の偵察機をレバノン領内から送りこみ…海上を数百キロ飛行して占領されているパレスチナに入った」、「(核施設がある)ディモナ(Dimona)付近で敵に探知されるまでに重要施設上空を数十キロにわたって飛行した」と述べ、これほど高度な航空能力を保有したのはレバノンや中東の抵抗運動史上初めてだと述べた。

 またナスララ師は今回使用した無人機はイランで製造され、レバノン国内で組み立てられたと述べた。匿名を条件にエルサレム(Jerusalem)でAFPの取材に応じたイスラエル当局者は、「ヒズボラの武器がイランから来ているという事実を聞いて驚く人はいない」として、無人機がイラン製だったことに意外感はないと述べた。撃墜後にイスラエル軍は、この無人機がガザ地区(Gaza Strip)から来たとは考えられず、ヒズボラによって送り込まれた可能性を調べていると述べていた。
 
 ナスララ師はイスラエルに無人偵察機を送ったのはこれが初めてではないと指摘するとともに、ヒズボラはイスラエル全土に無人機を送る能力を持っており、今後も無人機による偵察を続けると述べた。2005年4月12日にはヒズボラの無人機がイスラエル北部を撃墜されずに飛行したことがある。イスラエルとヒズボラが武力衝突していた2006年7月、ヒズボラはイスラエルの領海上空に無人機を飛ばしたが、これはイスラエル軍によって撃墜された。

■無人機の侵入阻止は困難
 
 イスラエル軍のラジオと日刊紙イディオト・アハロノト(Yediot Aharonot)は10日、イスラエル軍は6日に無人機に対処した際、2度目の攻撃でようやく撃墜に成功したと報じた。F16戦闘機が最初に撃ったミサイルは無人機に当たらず、最新鋭の空対空ミサイル、パンサー(Panther)で撃墜したという。

 イディオト・アハロノトは、「無人機の小ささを考えると最初のミサイルが当たらなかったことは無理もなく、イスラエルと同程度の防空システムを持っている世界のどの国もあのような航空機の侵入を防ぐことはできなかっただろう」という空軍幹部の発言を引用した。(c)AFP/Rana Moussaoui