米副大統領候補のテレビ討論、バイデン、ライアン両氏が激論
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【10月12日 AFP】(一部更新、写真追加)米ケンタッキー(Kentucky)州ダンビル(Danville)で11日夜(日本時間12日午前)、米大統領選の副大統領候補、民主党のジョー・バイデン(Joe Biden)副大統領(69)と共和党のポール・ライアン(Paul Ryan)下院議員(42)のテレビ討論が行われた。
30歳近い年齢差がある両氏は、リビア東部ベンガジ(Benghazi)で起きた米領事館襲撃事件やイランの核開発をはじめとする外交問題のほか、医療保険制度や税制などの内政問題でも激論を交わした。
ライアン氏が9月11日のベンガジ米領事館襲撃事件について現政権の対応を鋭く追及すると、バイデン氏はこうした過ちが繰り返されることはないと応じ、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領がイラクやアフガニスタンからの米軍撤退のために払った努力やウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者の殺害作戦などを例に挙げて国家安全保障をめぐる現政権の実績を強調した。
これに対し、ライアン氏は、仏パリ(Paris)駐在の米大使にはついている海兵隊の護衛が、治安が悪いリビアに赴任しベンガジの領事館襲撃で死亡したJ・クリストファー・スティーブンス(J. Christopher Stevens)大使にはついていなかったと指摘するとともに、ベンガジの襲撃は敵に対してひたすら弱腰なオバマ大統領の外交政策のほころびを示すものだと批判した。これに対して、バイデン氏はナンセンスだと反論した。
両氏はイラン核開発をめぐる問題でもぶつかった。バイデン氏は、イランが核兵器を手にするにはまだ時間がかかり、共和党大統領候補のミット・ロムニー(Mitt Romney)前マサチューセッツ(Massachusetts)州知事とライアン氏が主張するような強硬姿勢は米国の安全保障を危険にさらすと主張した。これに対し、ライアン氏は「アヤトラ(イスラム教シーア派の法学者の称号)たちの立場になって考えてみよう。彼らはこの2年間というもの米政権は議会で対イラン制裁を弱めようとしてきたと思っているだろう。彼らは(濃縮ウランをつくる)遠心分離器の回転速度を上げ、核兵器に近づいている」と述べ、オバマ政権は怠慢だと批判した。
3日夜(日本時間4日午前)の大統領候補による第1回テレビ討論会後、ロムニー氏が支持率を伸ばしたことから、バイデン副大統領はこの討論で立て直しを迫られる形になっていた。
相手を寄せ付けぬ勢いで熱弁をふるっていたバイデン氏だったが、ライアン氏が真面目に答えている時の分割画面では、薄笑いを絶やさず、時には高笑いし、軽蔑の目つきをして見せるなど、数百万人の茶の間の視聴者をしらけさせかねない態度を取っていた。
副大統領候補のテレビ討論に続き、16日と22日にそれぞれニューヨーク(New York)州とフロリダ(Florida)州で大統領候補による第2回と第3回のテレビ討論会が予定されている。(c)AFP/Celia Sampol