【10月6日 AFP】米労働省が5日に発表した9月の雇用統計で、失業率が7.8%に改善し、バラク・オバマ(Barack Obama)現大統領の就任以来最も低い数字となったことが分かった。

 3日に行われた米大統領選のテレビ討論会で共和党のミット・ロムニー(Mitt Romney)候補に惨敗したオバマ大統領は、この思わぬ朗報にほっと肩をなで下ろし、約1か月後に迫った11月6日の投票日に向け攻勢を強めた。

 米バージニア(Virginia)州の集会で演説したオバマ大統領は、「私が就任した時は、月に約80万のペースで仕事が失われていた。しかし過去2年半にわたって520万の新規雇用を生み出した」と述べた。

 一方、一部の共和党支持者は、選挙間近に失業率が突然0.3%も下がったことは、オバマ陣営にとって都合が良すぎると指摘している。

 米複合会社ゼネラル・エレクトリック(General ElectricGE)のジャック・ウェルチ(Jack Welch)元最高経営責任者(CEO)はマイクロブログのツイッター(Twitter)で、「この雇用統計は信じられない。シカゴ(Chicago)の連中は手段を選ばない。討論では勝てないから、数字を改ざんするのだ」と不信感をあらわにした。

 ホワイトハウス(White House)のジョシュ・アーネスト(Josh Earnest)報道官はこういった主張を「全くのナンセンス」だと切り捨て、データは労働統計局の専門職員がまとめたもので、大統領や各長官が任命する政治任用者は関与していないと述べた。

 第2次世界大戦以降、失業率が7.4%を超えた時期に再選された大統領はいない。5日発表の統計結果とそれに関する好意的な報道の数々は、オバマ陣営にとって喜ばしい追い風となっている。選挙前に発表される月間雇用統計はあと1回のみで、このまま行けばオバマ大統領は、今月16日の第2回テレビ討論会で経済が正しい方向に向かっていると主張でき、ロムニー候補の攻撃を鈍らせることができるかもしれない。

 オバマ氏は全国世論調査のほとんどでリードし、選挙の行方を左右する「スイング・ステート」と呼ばれる約10の激戦州においてもリードしている状態だが、ディベートに強みを持つロムニー候補はテレビ討論会でその差を縮めると予想されている。(c)AFP/Tangi Quemener