【9月20日 AFP】グルジアで刑務所の看守が受刑者に暴行を加える映像がテレビで放送され、首都トビリシ(Tbilisi)で抗議デモが行われるなど国民の間に激しい反発が広がっている。ミヘイル・サーカシビリ(Mikheil Saakashvili)大統領は19日、国内の全刑務所に警察官を配備すると発表した。

 野党系テレビ局TV9が18日夜に放映したトビリシの刑務所の映像では、看守にやめてくれと泣きながら嘆願する半裸の男性受刑者が映っていた。この受刑者はその後看守に棒で性的虐待を加えられたとみられる。内務省が公開した映像にも看守が受刑者を容赦なく蹴りつける様子が映っていた。

 サーカシビリ大統領はテレビ演説で国内の全刑務所について警察官の配備と徹底的な見直しを命じたことを明らかにし、「(刑務所における)いかなる人権侵害も容認しない」と言明した。ソ連時代の劣悪な環境を踏襲したグルジアの刑務所はかねてから批判されていた。

 刑務所の所管大臣が辞任した他、グルジア政府は虐待に関与した看守15人を逮捕したと発表。さらに、公開された虐待映像は総選挙を前に現政権の信頼失墜を狙った「工作員」による策略だと主張した。

 10月1日投票の総選挙では、野党勢力を率いる富豪のビジナ・イワニシビリ(Bidzina Ivanishvili)氏がサーカシビリ政権打倒を公言しており、与党の苦戦が予想されている。(c)AFP/Irakli Metreveli