【9月19日 AFP】非公開会合で「米国民の約半数は政府に依存している」と発言していたことが明るみに出て批判を浴びている米大統領選のミット・ロムニー(Mitt Romney)共和党候補が、同じ会合で「パレスチナ人は和平への関心が全くない」、自分が大統領に当選すれば「パレスチナ問題を放置するつもりだ」などと発言していたことが分かった。

 一連の発言は、米左派系雑誌マザー・ジョーンズ(Mother Jones)が、米フロリダ(Florida)州で今年5月17日に個人資金提供者向けに開かれた参加費5万ドル(約400万円)の非公開会合で隠し撮りされた動画の一部を公開したことで明るみに出た。

 18日に同誌が新たに公開した動画の中でロムニー氏は、パレスチナ問題は解決できるのかという質問に「パレスチナ人は和平実現への関心など全くない。和平への道筋を描くことはほぼ不可能だ」と答え、さらに次のように続けていた。

「パレスチナ人は政治的な思惑から和平を望んでおらず、イスラエルを破滅させようとしているように思える。問題解決は無理だ」

「可能な範囲で最善の方法で物事を進めるしかない。ある程度の安定は期待できるが、この問題がずっと未解決のまま残ることは分かるはずだ。ボールをフィールドに蹴り入れて、そのうちどうにかして何かが起こり、問題が解決してくれることを願うしかない」

 これらの発言から、ロムニー氏はパレスチナ自治区のヨルダン川西岸(West Bank)とガザ地区(Gaza Strip)で活動する各パレスチナ勢力の違いをほとんど考慮せず、パレスチナ指導者の中にもイスラエルとの和平を望む者がいる可能性を全否定しているように受け取れる。

 ロムニー氏はこれまで、対イスラエル関係を悪化させたとして11月の大統領選で再選を目指している民主党のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領をたびたび批判してきた。この会合でも「パレスチナ側の行動を促すためにイスラエル側に何かを諦めさせるというのは世界最悪の考えだ」と述べている。

 さらに会合でロムニー氏は、オバマ大統領は自らの「人徳」「魅力」「雄弁さ」でロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領、ベネズエラのウゴ・チャベス(Hugo Chavez)大統領、イランのマフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領に悪い行いをやめるよう説得できると思い込んでいるとし、「とんでもなくナイーブな(うぶな)考えだ」と非難した。

 ロムニー氏は8月下旬から9月初めにかけて開かれた共和・民主両党の全国大会以降、オバマ大統領に支持率で後れを取っている。世論調査によれば、全国平均と接戦が予想される各州での支持率は共にオバマ大統領がリードしている。(c)AFP/Andrew Gully