【9月11日 AFP】中国の次期国家主席に内定している習近平(Xi Jinping)国家副主席が、ここ数日間で海外首脳らとの会談を相次いでキャンセルして公の場に姿を現していないことから、習氏の消息についてさまざまな臆測が飛び交っている。

 習氏は10日、デンマークのヘレ・トーニングシュミット(Helle Thorning-Schmidt)首相との会談をキャンセルした。前週にも習氏とヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官との会談が突如、中止されている。

 いまは、中国共産党の指導部を次世代に引き継ぎ、習氏が国家主席に選出される見通しの党大会が間近に迫っている時期でもある。

 中国外務省は5日、習氏とトーニングシュミット首相が10日に会談すると発表していた。だが同日、習氏はクリントン長官、シンガポールのリー・シェンロン(Lee Hsien Loong)首相、ロシア政府高官との会談を全てキャンセルしている。

 結局、10日午後4時(日本時間午後5時)に予定されていたトーニングシュミット首相と習氏の会談は行われなかった。北京(Beijing)のデンマーク大使館によると、トーニングシュミット首相の中国滞在中に両者が会談する予定はないという。

 相次ぐ会談中止に、海外の中国語ウェブサイトでは習氏の健康に関する臆測を伝えている。なかには「習氏が交通事故に巻き込まれた」との記事も見られたが、これは後に撤回されている。

 中国のニュースサイト、博訊(Boxun)は、交通事故報道については「うわさを広めようと狙った」として左派勢力を批判し、習氏はやや体調を崩しているだけだと伝えた。このほか、習氏が背中を痛めたと報じた海外メディアもある。

 香港城市大学(City University of Hong Kong)の鄭宇碩(ジョセフ・チェン、Joseph Cheng)教授は、「明らかに中国当局は、指導部の世代交代に悪い影響を与えるような臆測につながりかねない報道を懸念している」と語った。(c)AFP