【9月4日 AFP】中国の国営新華社(Xinhua)通信は4日、同日のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官の訪中を前に、中国の政治的影響力増大を阻止するような政策を推し進めないよう米国に強く求めた。

 クリントン長官は、東シナ海(East China Sea)や南シナ海(South China Sea)で領有権をめぐり米国の同盟国である日本やフィリピンと中国との間で緊張が高まるなかでアジア太平洋地域を歴訪中だ。

 新華社に英語で掲載された署名記事は、「(懸案事項となっている)海洋の領有権問題では中国に不利となる立場をとりながら、その一方では中国市場へのアクセスや信頼を欲している」と米国の対中国政策を批判。また「米国の政治家たちは中国で『金脈』を掘り当てると同時に中国の台頭を制御しようとのばかげた妄想を抱いているが、一挙両得はありえないことを知るべきだ」と切り捨てた。

「米国は、自分は手を下さずに様々な国を背後から操る卑劣なトラブルメーカーの役割は止めるべきだ」と米批判は続いた。

 この署名記事は中国語では掲載されていないことから、クリントン長官の訪中を前に、米国に対する中国政府の不満を直接海外に示すことが狙いだとみられる。

 米国は冷戦時代から長年にわたってアジア太平洋地域での軍事展開を続けている。最近は10年におよぶイラクとアフガニスタンでの戦闘で疲弊する一方で、アジア太平洋地域については安全保障を強化する政策に転じていることから、中国はこれを脅威とみなして、神経をとがらせている。

 一方で、世界第2位の経済大国に成長した中国は、より強気に外交および安全保障政策を推し進め、近隣諸国にとっては懸念材料となっている。これに対して中国は、紛争を伴わない「平和的な台頭」だと主張している。(c)AFP