【9月4日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は3日、ハリケーン・アイザック(Isaac)で「甚大な被害」に見舞われた米ルイジアナ(Louisiana)州を視察し、自らが率いた政府各機関による対応を称賛した。

 オバマ大統領は、今週開かれる民主党の全国大会を前にした遊説の中、ハリケーン被災で多くの家屋や商店などが洪水に見舞われたルイジアナ州セントジョンザバプテスト(St John the Baptist)郡を訪問し、地元当局者や救助隊員、被災者らと面会した。

「ここにいるみなさんが、多くの命を救おうとして行ったことを称賛したい」とオバマ氏は語り、「過去には、こういった災害対応に求められる協調行動がみられなかったこともあった」と述べて連邦、州、地元の各当局をねぎらった。

 このオバマ氏の発言は、2005年のハリケーン・カトリーナ(Katrina)の際、洪水のニューオーリンズ(New Orleans)に数万人が取り残される中、連邦当局と州当局が協調して行動できなかったことを示唆するものだ。

 カトリーナでは約1800人が死亡しており、当時2期目だったジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領は、災害対応での失敗から政治的に大きな痛手を負った。

 カトリーナの失敗を繰り返すまいと、オバマ大統領はこの度の災害対応にあたり、連邦政府当局の災害対策チームをハリケーンが到達する前に配置させるとともに、災害が予想される地域の地元当局とも何度も意見交換を行っていた。

■大統領選に向けて両陣営の舌戦も

 米ホワイトハウス(White House)は、大統領のルイジアナ視察に際し、災害を政争の具にしてはならないとコメント。しかし、共和党の副大統領候補に指名されたポール・ライアン(Paul Ryan)下院議員率いる共和党議員が前年、被災者支援に向けた資金を一部カットしようとしたと指摘する一面も見られた。

 また、民主・共和両候補が相次いでルイジアナ州を訪れることで両候補の違いを明確化したいのではないかとの質問をホワイトハウスは否定したが、オバマ氏の選挙陣営は「両陣営が代表するものに明確な違いがある」と表明。これに対し共和党選挙陣営が「オバマ陣営が政治利用しない問題はない」と批判するなど、両陣営の舌戦が繰り広げられている。(c)AFP/Mandal Ngan