【8月17日 AFP】エクアドルのリカルド・パティニョ(Ricardo Patino)外相は16日、同国の首都キト(Quito)で記者会見し、エクアドル政府は内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」の創設者、ジュリアン・アサンジ(Julian Assange)容疑者(41)の亡命を認めると発表した。

 ウィキリークスは2010年、米国の外交公電やイラク戦争に関する米軍の秘密情報を大量に入手してインターネット上で公開した。ウィキリークスに情報を提供した米陸軍のブラッドリー・マニング(Bradley Manning)上等兵は米国で訴追されている。

 スウェーデン政府はアサンジ容疑者がスウェーデンで起こしたとされる性犯罪事件について取り調べるため同容疑者をスウェーデンに移送するよう求めているが、アサンジ容疑者は6月19日、ロンドン(London)にあるエクアドル大使館に入って政治亡命を求めていた。

 パティニョ外相は、アサンジ容疑者がスウェーデンに移送されれば最終的に第三国に移送される可能性があり、米国に移送されれば公正な裁判は受けられないだろうとの見方を示し、英国、スウェーデン、米国がアサンジ容疑者を米国に移送しないと保証しなかったため亡命を認める決定を下したと述べた。また同外相は、英国がアサンジ容疑者の安全な出国を認めなければ、引き続きエクアドル大使館で保護すると述べた。

■英、スウェーデン、米の反応

 英外務省は、英国の裁判所でアサンジ容疑者のスウェーデンへの移送が最終的に決まった以上、英政府はアサンジ容疑者を移送する義務を負っており、その義務を履行すると発表した。英警察はエクアドル大使館周辺に約30人の警察官と9台の車両を出して警戒を強化している。

 スウェーデンのカール・ビルト(Carl Bildt)外相はツイッター(Twitter)に「わが国の法制度は万人の権利を保障している。その事実に反する批判は断固否定する」と書き込んだ。

 米国務省のビクトリア・ヌーランド(Victoria Nuland)報道官は、この件は当事国間の問題であり米国として関与するつもりはなく、米政府はアサンジ容疑者を訴追する意図は全く持っていないと述べた。(c)AFP/Santiago Piedra