【7月20日 AFP】内戦状態に陥っているシリアをめぐり、国連安全保障理事会(UN Security Council)は19日、国連シリア監視団(UN Supervision Mission in SyriaUNSMIS)の派遣延長案にアサド政権への制裁を盛り込んだ欧米の決議案を採決したが、常任理事国のロシアと中国が拒否権を発動し、否決された。

 英国が提案した決議案は、国連シリア監視団の派遣延長を求めた上で、アサド政権がシリア各都市での重火器の使用を停止しない限り、国連憲章第7章に基づく非軍事的制裁措置を科すと警告する内容が盛り込まれていた。

 安保理理事国15か国中、米独仏など11か国が賛成したが、常任理事国のロシアと中国が拒否権を発動したため、決議案は否決された。パキスタンと南アフリカは棄権した。シリアをめぐる決議案に両国が拒否権を発動したのは3度目。

 国連とアラブ連盟(Arab League)合同のシリア問題特使、コフィ・アナン(Kofi Annan)前国連事務総長による調停や停戦監視活動の今後が危ぶまれる中、米国は今回の否決に大きな失望を表明し、今後は国連安保理外でアサド政権に圧力をかけていくと述べた。UNSMISは政府軍と反体制派の戦闘激化により6月16日以降、停戦活動を停止している。

 UNSMISは20日に90日間の派遣期限を迎える。欧米案の否決を受け、安保理はUNSMIS派遣の延長に絞った決議案の合意を目指している。20日中に採決が行われる可能性があるが、採択されなければ現在ダマスカス(Damascus)にいる約300人の監視団は撤退を余儀なくされる可能性もある。(c)AFP/Tim Witcher