【7月18日 AFP】ロンドン五輪の会場警備を請け負いながら、契約で決められた人数の警備員を集められなかった大手民間警備会社G4Sのニック・バックルズ(Nick Buckles)最高経営責任者(CEO)は17日、英下院の公聴会に出席した。議員らから非難を浴びたバックルズ氏は、今回の不祥事は「恥ずべき大惨事」だと認めた。

 G4Sは当初1万人の動員を約束していたが、バックルズ氏によれば実際に投入できるのは7000人にとどまる見通しだという。不足分を埋めるため英政府は既に3500人の兵士を追加派遣している。

 バックルズ氏はこの不祥事の責任を取ってCEOを辞任する意向はなく、同社は当初の契約通り管理手数料5700万ポンド(約70億円)を請求すると述べた。

 英議会の下院内務特別委員会(Home Affairs Select Committee)の公聴会で委員の1人からこの不祥事が「恥ずべき大惨事」だと思うかと質問されたバックルズ氏は、それについて自分は意義を唱えることはできないと述べた。

■無理な受注に走ったか

 バックルズ氏は五輪警備の案件は利益のためではなく、会社としての評価を高めるために受注したと証言したが、むしろ同社の名声は「ずたずたになった」のではないかとの指摘を受けるとこれに同意した。さらに、G4Sは2016年のリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)五輪の警備には名乗りを上げない予定だとも付け加えた。

 バックルズ氏にはCEO辞任を求める圧力が高まっているが、同氏は自分こそロンドン五輪の案件を最後まで監督するのに「最適な人物」だとして、年間報酬83万ポンド(約1億円)のCEO職にとどまる意向を示した。

 バックルズ氏によれば人員が不足する可能性は今月3日に浮上していたが、計画通りの人員を集められないことが確実になった11日になって初めて英当局に報告した。同氏はG4Sが現在までに集めた人員は4200人で、27日の五輪開幕までに確実に手配できるのは7000人だと説明したが、この人数を保証できるのかという問いには「できない」と答えた。

 17日のロンドン(London)株式市場は、FTSE100種総合株価指数が0.59%安となった中、G4S株は6.20%も値を下げた。G4S株は16日にも大幅に下落している。(c)AFP/Ruth Holmes