米共和党の副大統領候補、有力視されている9人の「一長一短」
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【7月15日 AFP】米大統領選の共和党候補となるミット・ロムニー(Mitt Romney)前マサチューセッツ州知事が副大統領候補を指名する締め切りまでまだ6週間あるものの、ロムニー氏が早ければ来週にも指名を発表するとの憶測が飛び交っている。
前回の大統領選では、同党の指名獲得が確定したジョン・マケイン(John McCain)上院議員が、サラ・ペイリン(Sarah Palin)アラスカ州知事(当時)を副大統領候補に指名し、人々を驚かせた。ロムニー氏がマケイン氏のように意表をついた人選を行うのか、それともそうした推測の裏をかいて安全かつ堅実な人材を指名するのか、注目が集まっている。
副大統領候補として有力視されているのは、次の9人。ロムニー氏はそれぞれの一長一短を比較検討し、続投を目指す民主党の現職バラク・オバマ(Barack Obama)大統領と対決することになる。
・オハイオ(Ohio)州のロブ・ポートマン(Rob Portman)上院議員(56)
「スイング・ステート」と呼ばれる激戦区の同州で幅広い支持を獲得。ブッシュ前政権で通商代表と行政管理予算局長を務めた経験がある。雇用や景気、財政政策を重視している店で、ロムニー氏が選挙運動で打ち出している主な政策と相性が良く、副大統領候補として安全と受け止められている。ただブッシュ前政権との密接な関係が批判を受ける恐れがある。波風を立てない穏健派と見られているものの、「凡庸」な要素もあると指摘されている。
・フロリダ(Florida)州のマルコ・ルビオ(Marco Rubio)上院議員(41)
カリスマ性を備えた新進気鋭の政治家。ロムニー氏が流れを変える人材を求めている場合、熱い演説で選挙戦の目玉となる可能性がある。キューバ移民の息子で、地元フロリダ州をはじめヒスパニック人口が多い選挙区で有利。ただ前回の大統領選に出馬した当時のオバマ大統領と比較すると、経験が浅い。
・ティム・ポーレンティー(Tim Pawlenty)前ミネソタ(Minnesota)州知事(51)
共和党内の支持が幅広く、民主党寄りのミネソタ州で知事を2期務めた。日曜朝の討論番組でロムニー氏を擁護したり、選挙運動に頻繁に出席するなどして、代理人としての能力を証明した。福音主義者でトラック運転手の息子である点は、保守層や労働者への訴求力になる。ただ「普通すぎる」と広く受け止められており、以前出馬した大統領候補の指名獲得レースでは安全かつ最適な人材と見られていたものの評価を得られず、早期に撤退を表明した。
・ウィスコンシン(Wisconsin)州のポール・ライアン(Paul Ryan)下院議員(42)
米下院予算委員会の委員長で、予算案を中心に議会で実績を上げてきた。副大統領候補に指名された場合、税金や歳出、社会プログラムに関する保守的な立場を承認することになり、共和党支持者層には評価されるだろう。ただ教育への歳出削減やメディケア(高齢者向け医療保険)制度改革に関する見解が論議を呼び、保守強硬派と判断されている。外交政策の経験は限定的。
・コンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)元国務長官(57)
公認候補者となった場合、元国務長官として外交政策の重視を打ち出す見通し。アフリカ系米国人女性として、人口統計学上の2つのグループでオバマ大統領の支持を抑制する可能性がある。ただイラク戦争への関与など、ブッシュ前政権時代の負の影響がつきまとっている。
・クリス・クリスティー(Chris Christie)ニュージャージー(New Jersey)州知事(49)
知名度の高い穏健派。民主党寄りのニュージャージー州で支持されている共和党州知事で、選挙の行方を決める無党派層に受け入れられる見通し。ただあらゆる面でロムニー氏の存在感を薄める可能性があり、共和党の保守層の支持を得るのは難しいと見られる。
・スサナ・マルティネス(Susana Martinez)ニューメキシコ(New Mexico)州知事(52)
米国初のヒスパニック系女性州知事であり、副大統領候補としては「一石二鳥」。ただ、小さな州で新規就任し、高い支持率を獲得している一方、全国的には知名度が低いなど、ペイリン氏と似ている点が多い。
・ボビー・ジンダル(Bobby Jindal)ルイジアナ(Louisiana)州知事(41)
南部で信頼を集めている保守派として保守派中核から支持を得られるとともに、インド系としてマイノリティーの支持を集めることも可能。ただ2009年にオバマ大統領の一般教書演説に対して行った反論演説が大惨事だったことが記憶に新しく、痛手になっている。
・ニッキー・ヘイリー(Nikki Haley)サウスカロライナ(South Carolina)州知事(40)
ロムニー氏支持を早い時期から表明していた1人。インドからの移民の娘で、サウスカロライナ州初の女性かつマイノリティー知事となった。超保守派の草の根運動「ティーパーティー(Tea Party)」の熱心な支持者でもある。ただ知名度が低く、経験が浅い点でペイリン氏との類似点が指摘される可能性がある。(c)AFP/Andrew Gully