【7月10日 AFP】中国政府は8日、300億元(約3700億円)を投じるチベット自治区区都ラサ(Lhasa)の大型観光開発プロジェクトを開始した。

 ラサ副市長を取材した国営の新華社(Xinhua)通信によると、大型開発プロジェクトにはテーマパーク、商業地区、住宅街などの建設が含まれている。第1期工事はラサ中心街からおよそ2キロの場所で進められ、工事期間は2~3年を予定しているという。

 また、テーマパークは、古代チベットの王に嫁いだ唐の皇女、文成公主(Princess Wencheng、618~907年)をテーマにしたものになるという。中国当局はこれまでも中国とチベットが歴史的に密接な関係にあったことを伝えるためにこのエピソードを用いてきた。他にはチベットの芸術や風習を取り上げた文化センターなどが建設される計画だ。

 長らくチベット人は、中国の統治下で宗教的自由を制限され、また、漢人の移住で自分たちの文化が浸食されているとして不快感を表明してきた。一方で中国政府側は、経済発展によりチベットの人びとの生活水準は向上し、宗教的な自由も得られていると主張している。

 昨年チベット自治区を訪れた観光客数は2010年よりも24%増え、850万人に上った。当局は今年の目標を1000万人に定めており、120億元の観光収入を見込んでいる。(c)AFP