スー・チー氏「国を率いる覚悟ある」、AFPインタビュー
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【7月2日 AFP】ミャンマーの民主化運動指導者で最大野党・国民民主連盟(National League for Democracy、NLD)党首のアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)氏(67)は、24年ぶりの欧州歴訪の最後の訪問地仏パリ(Paris)で28日、AFPのインタビューに応じ、ミャンマーの現状に対する思いや今回の旅の感想などを語った。
将来、国を率いる用意はあるかとの問いに、スー・チー氏は「どの党の党首も、民主化プロセスを心から信じているなら(国の指導者となる)覚悟はしておくべき」と答えた。そのうえで、四六時中それだけを考えているわけではないとも付け加え、「将来に備えるのは当然だが、現在やるべきことに集中する必要があるだろう。その『現在』は、その人が願う未来へとつながっていなければならない」と述べた。
長年、軍事政権下で自宅軟禁に置かれていたスー・チー氏は今回、スイス、ノルウェー、アイルランド、英国、フランスの5か国を訪問。行く先々で大勢の人々から温かい歓迎を受けたことへの感激を、次のような言葉であらわした。
「世界のあちこちで非常にたくさんの人々が、私たちがビルマで続けてきた闘いについて知っていた。大きな連帯を感じた。これは驚きだった」(「ビルマ」は軍政による変更前のミャンマーの国名)
その一方で、2週間に及んだ歴訪日程が過密だったことも認め、「とても疲れた。訪問先では私がこれまで払った最も大きな犠牲は何かとよく聞かれたが、思わず『それは睡眠時間です』と答えそうになったほどだ」と冗談まじりに語った。
■15年総選挙の行方は「今後3年次第」、投資は国民第一を呼びかけ
2011年に軍事政権が解散し名目上は民政に移行したミャンマーでは、2015年に次期総選挙が実施される。NLDはこの総選挙で政権獲得を目指すが、スー・チー氏は今から懸命に尽力することが肝心だと協調した。
「(選挙で)どのような結果が出るか、2015年まで座して待つわけにはいかない。今が最も大事だ。今後3年間で、2015年にわが国がどのような状態にあるかが決まる」
民政移行を受けて欧米諸国がミャンマーへの経済制裁を緩和・停止するなか、貧困国ながら天然資源が豊富なミャンマーには、経済界が熱いまなざしを向けている。
これについてスー・チー氏は、「中国資本だろうが欧米資本だろうが、投資家にとって利益が高いだけでなく(ミャンマー)国民にとっても有益な投資でなければならない。そのための行動規範が必要だ」とけん制。「特に、資源採掘事業における財務の透明性は論争の的になりがちだ。しっかりした行動規範を確約してくれる事業なら、大歓迎する」と訴えた。
■少数民族問題は「市民権確立で対処を」
スー・チー氏の欧州歴訪中、ミャンマーでは西部ラカイン(Rakhine)州で仏教徒とイスラム教徒の少数民族ロヒンギャ(Rohingya)人との衝突が起き、80人以上が死亡した。この問題についてスー・チー氏は、法の支配を強化し市民権法を整備することによって、市民権のあるロヒンギャ人と不法移民を区別することが大事だと述べた。
スー・チー氏は、「地域社会の対立は文化や宗教の違いに根ざしていることが多い」と指摘。こうした違いは乗り越えるのに時間がかかるが、法の支配さえ確立すれば衝突は減少するはずだとの考えを示した。
また、ラカイン州がバングラデシュと国境を接し不法移民が出入りしやすい地域特性に加え、移民当局に汚職がはびこっている点も挙げ、ミャンマーとバングラデシュ両国が移民の押し付け合いをしていると批判。国際的に理解を得られる公正で強力な市民権法の確立が必要だと訴えた。
■贈られた花にちょっと不満も?
いつも髪に花を飾った姿が印象的なスー・チー氏。今回の歴訪でも、行く先々でさまざまな花を贈られた。だが、欧州の花にスー・チー氏は少しばかり困らされたようだ。インタビューでは、こんな軽口も飛び出た。
「たくさんの花をいただいた。でも、1つだけ問題があったので、欧州の友人たちには伝えておきたい」
「欧州のバラは茎がとても太いので、髪に飾りにくい。もっと小ぶりで、かれんな種類の花にしてもらえると嬉しい」
スー・チー氏は29日に欧州歴訪の日程を全て終え、30日にミャンマーに帰国した。(c)AFP/Frank Zeller
将来、国を率いる用意はあるかとの問いに、スー・チー氏は「どの党の党首も、民主化プロセスを心から信じているなら(国の指導者となる)覚悟はしておくべき」と答えた。そのうえで、四六時中それだけを考えているわけではないとも付け加え、「将来に備えるのは当然だが、現在やるべきことに集中する必要があるだろう。その『現在』は、その人が願う未来へとつながっていなければならない」と述べた。
長年、軍事政権下で自宅軟禁に置かれていたスー・チー氏は今回、スイス、ノルウェー、アイルランド、英国、フランスの5か国を訪問。行く先々で大勢の人々から温かい歓迎を受けたことへの感激を、次のような言葉であらわした。
「世界のあちこちで非常にたくさんの人々が、私たちがビルマで続けてきた闘いについて知っていた。大きな連帯を感じた。これは驚きだった」(「ビルマ」は軍政による変更前のミャンマーの国名)
その一方で、2週間に及んだ歴訪日程が過密だったことも認め、「とても疲れた。訪問先では私がこれまで払った最も大きな犠牲は何かとよく聞かれたが、思わず『それは睡眠時間です』と答えそうになったほどだ」と冗談まじりに語った。
■15年総選挙の行方は「今後3年次第」、投資は国民第一を呼びかけ
2011年に軍事政権が解散し名目上は民政に移行したミャンマーでは、2015年に次期総選挙が実施される。NLDはこの総選挙で政権獲得を目指すが、スー・チー氏は今から懸命に尽力することが肝心だと協調した。
「(選挙で)どのような結果が出るか、2015年まで座して待つわけにはいかない。今が最も大事だ。今後3年間で、2015年にわが国がどのような状態にあるかが決まる」
民政移行を受けて欧米諸国がミャンマーへの経済制裁を緩和・停止するなか、貧困国ながら天然資源が豊富なミャンマーには、経済界が熱いまなざしを向けている。
これについてスー・チー氏は、「中国資本だろうが欧米資本だろうが、投資家にとって利益が高いだけでなく(ミャンマー)国民にとっても有益な投資でなければならない。そのための行動規範が必要だ」とけん制。「特に、資源採掘事業における財務の透明性は論争の的になりがちだ。しっかりした行動規範を確約してくれる事業なら、大歓迎する」と訴えた。
■少数民族問題は「市民権確立で対処を」
スー・チー氏の欧州歴訪中、ミャンマーでは西部ラカイン(Rakhine)州で仏教徒とイスラム教徒の少数民族ロヒンギャ(Rohingya)人との衝突が起き、80人以上が死亡した。この問題についてスー・チー氏は、法の支配を強化し市民権法を整備することによって、市民権のあるロヒンギャ人と不法移民を区別することが大事だと述べた。
スー・チー氏は、「地域社会の対立は文化や宗教の違いに根ざしていることが多い」と指摘。こうした違いは乗り越えるのに時間がかかるが、法の支配さえ確立すれば衝突は減少するはずだとの考えを示した。
また、ラカイン州がバングラデシュと国境を接し不法移民が出入りしやすい地域特性に加え、移民当局に汚職がはびこっている点も挙げ、ミャンマーとバングラデシュ両国が移民の押し付け合いをしていると批判。国際的に理解を得られる公正で強力な市民権法の確立が必要だと訴えた。
■贈られた花にちょっと不満も?
いつも髪に花を飾った姿が印象的なスー・チー氏。今回の歴訪でも、行く先々でさまざまな花を贈られた。だが、欧州の花にスー・チー氏は少しばかり困らされたようだ。インタビューでは、こんな軽口も飛び出た。
「たくさんの花をいただいた。でも、1つだけ問題があったので、欧州の友人たちには伝えておきたい」
「欧州のバラは茎がとても太いので、髪に飾りにくい。もっと小ぶりで、かれんな種類の花にしてもらえると嬉しい」
スー・チー氏は29日に欧州歴訪の日程を全て終え、30日にミャンマーに帰国した。(c)AFP/Frank Zeller