【7月2日 AFP】エジプトで初めて自由選挙で文民から選ばれたムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)新大統領(60)が1日、就任後初の公務を開始した。ただ、組閣や公約した政策の遂行にあたっては軍部の影響が避けられない見込みだ。

 モルシ大統領は6月30日、宣誓式に臨み軍事評議会から正式に権限移譲を受けたが、宣誓式は希望していた議会ではなくカイロ(Cairo)の憲法裁判所で行われた。憲法裁判所は前月、選挙法を違憲と判断。これを受けて軍事評議会が、モルシ大統領を擁立したムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)などイスラム系議員が多数を占める議会を解散した経緯がある。

 軍事評議会のムハンマド・フセイン・タンタウィ(Muhammad Hussein Tantawi)議長は30日、カイロの軍基地で行われた移譲手続きで、新大統領への支援を約束した。しかし、歴史的な式典の裏にはいまだ、将来的に対立の芽となりかねない政治的行き詰まりが潜んでいる。

 議会解散後、立法権は軍事評議会にある。大統領が率いる国防委員会も委員の大半は軍司令官らだ。国防省や外務省など重要省庁のトップ人事にも、軍部が強い発言権を握っているとみられる。

 また、解散した議会が指名した憲法制定委員会を裁判所が無効と判断した場合の新委員の指名権も、軍事評議会にある。裁判所の判断は9月1日に下される。(c)AFP/Samer al-Atrush