【6月19日 AFP】イランの核開発計画をめぐる欧米など6か国とイランの協議が18日、ロシア・モスクワ(Moscow)で始まった。この日の厳しい話し合いは長時間に及んだが、事態打開の見通しは立たなかった。

 国連安全保障理事会の5常任理事国(米英仏露中)にドイツを加えた「P5+1」と呼ばれる6か国はイラン側がウラン濃縮計画を縮小する意向の兆しを示すことを期待していたが、イラン代表団の1人は午後の協議で「現在の雰囲気は良くない。(協議の)枠組み作りが主な問題だ」と述べた。

 協議は2日間の予定だが、このイラン代表団メンバーは2日目の協議が行われない可能性もあると述べた。イラン代表団のトップ、サイード・ジャリリ(Saeed Jalili)最高安全保障委員会事務局長は、イランの国営テレビに「一連の交渉は西側がイランの発展に賛成か、反対かを問う大きな試金石だ」と述べ、妥協しない姿勢を示していた。

 欧州連合(EU)代表団の報道官は記者団に対し、西側は核兵器の製造にも使える濃縮度20%のウラン生産の停止という従来の要求を堅持したと述べた。

 米国とイスラエルがイランの核関連施設の空爆という選択肢を除外していない以上、交渉が決裂すれば大きな影響が出る恐れがある。イランに新たな制裁が加えられ、同国経済に影響が出る可能性もある。

 しかしイランは交渉を前に、ウラン濃縮を行う権利を放棄するつもりはないと明言していた。国営イラン通信(IRNA)によるとあるイラン側代表団員は「この要求が認められなければ、交渉は間違いなく失敗に向かう」と述べたという。

 露日刊紙コメルサント(Kommersant)は、ナタンズ(Natanz)にある主力濃縮施設でのウラン濃縮度を20%から3.5~5%に下げるという妥協案がイラン側に示されるだろうと報じている。(c)AFP

【関連記事】
欧米など6か国とイランの核協議終わる、成果乏しく 6月にモスクワで再協議
欧米など6か国とイランの核協議、24日も継続 イラン側も提案
イラン核開発協議の再開を提案、EU外交安全保障上級代表