【6月18日 AFP】サウジアラビアのナエフ・ビン・アブドルアジズ(Nayef bin Abdul Aziz)皇太子(79)が16日、スイス・ジュネーブ(Geneva)で死去した。死因は、ジュネーブの医療関係者によると心臓疾患。葬儀は17日にサウジアラビア西部メッカ(Mecca)のモスクで営まれた。

 サウジアラビア内相を長く務めたナエフ皇太子は、わずか8か月前に実兄のスルタン・ビン・アブドルアジズ(Sultan bin Abdul Aziz)皇太子の死去を受けて新皇太子に就任したばかりだった。中東情勢が混乱する中、王位継承者の高齢化問題が再び表面化している。

 アブドラ・ビン・アブドルアジズ(King Abdullah bin Abdul Aziz)国王は88歳と高齢なうえ、体調も思わしくないが、皇太子の正式な後継は決まっていない。最も有力な後継候補は、ナエフ皇太子の弟で国防相のサルマン・ビン・アブドルアジズ(Prince Salman bin Abdul Aziz)王子だが、76歳とやはり高齢だ。

■機能していない後継決定機関

 サウジアラビア王室は2006年、王位継承や新皇太子を決定する機関として、初代アブドルアジズ国王の直系男子36人からなる「忠誠委員会」を設置した。しかし、忠誠委員会の設立を宣言する国王令は、その活動の開始をアブドラ現国王死去後と規定している。サウジアラビアの政治学者ハリド・ダヒール(Khaled al-Dakheel)氏によると、したがってナエフ皇太子の任命には忠誠委員会は関与しなかったという。

 ダヒール氏は、忠誠委員会が王族間での平和裏な権力移譲に法的根拠を与える機関である点を指摘し、今回の後継選びについて同委員会が決定力を示す機会となるとの見方を示した。

 一方、中東問題に詳しい英王立国際問題研究所(チャタムハウス、Chatham House)のジェーン・キニンモント(Jane Kinninmont)氏は、新皇太子の決定より、王位継承順位第2位の選出の方が困難とみる。この継承順位発表は、第2副首相への任命によって非公式に示される可能性が高いが、スルタン皇太子の死後にナエフ皇太子が第1副首相に昇格して以来、アブドラ国王は第2副首相を任命していない。

 ナエフ皇太子は、アブドルアジズ初代国王に最も寵愛(ちょうあい)された夫人のスダイリ家のハッサ妃(Princess Hassa al-Sudairi)の7人の息子「スデイリ7(Sudairi Seven)」の1人。今も存命なのはサルマン王子、アブドルラハマン(Abdul Rahmanbin Abdul Aziz)王子、トルキ(Turki bin Abdul Aziz)王子、アハマド(Ahmed bin Abdul Aziz)王子の3人だ。

 このうち、内務次官を務めるアハマド王子が内相に昇格するとみられる。(c)AFP/Abdel Hadi al-Habtoor

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