【6月14日 AFP】チュニジア北西部ケフ(Kef)の裁判所は13日、前年の「アラブの春」の先駆けとなった抗議デモで参加者らの殺害に関与したとして、サウジアラビアに亡命した前大統領のジン・アビディン・ベンアリ(Zine El Abidine Ben Ali)被告に対し、本人不在のまま終身刑判決を言い渡した。

 前年に同国中部タラ(Tala)とカスリーヌ(Kasserine)で起きた抗議デモでは、治安部隊による鎮圧で22人が死亡し、ベンアリ被告の責任が問われていた。検察側は死刑を求刑していた。

 また、ラフィク・ベルハジ・カシム(Rafik Belhaj Kacem)前内相らベンアリ被告の元側近らにも最大で禁錮15年が言い渡されたが、ベンアリ政権の主要閣僚の多くは公訴棄却となり、デモ犠牲者の家族からは怒りの声が上がっている。

 チュニジアの民主化につながった一連の抗議デモでは治安部隊に数百人が殺害されたが、これに関する裁判で前政権高官に判決が言い渡されたのは初めて。だが、主要閣僚らが無罪放免となった上、亡命中のベンアリ被告の刑が執行される可能性はほぼないことから、これを不服とした新たな暴動の発生が懸念されている。

 ベンアリ被告は既に麻薬密売や公金横領などで計66年以上の禁錮刑判決を受けている。ベンアリ被告と妻は国際指名手配されているが、サウジアラビア当局はチュニジア側の身柄引き渡し要求に応じていない。(c)AFP/Mounir Souissi

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