【6月7日 AFP】1989年の天安門(Tiananmen)事件後に逮捕され20年以上服役していた民主活動家の李旺陽(Li Wangyang)氏(62)が6日、入院中の病院で不審死した。李氏の家族と人権団体が明らかにした。

 李氏の義理の弟にあたる趙寶珠(Zhao Baozhu)氏がAFPに電話で明らかにしたところによると、李氏は湖南(Hunan)省邵陽(Shaoyang)の病院で6日朝、死亡しているのが見つかった。警察は死因を自殺と断定し、遺族の了解を取らずに遺体を持ち去ったという。

 だが趙氏は、前夜に家族らが面会したとき李氏には自殺するような兆候は全く見られなかったという。趙氏は当局による盗聴を恐れて、それ以上は語らなかった。

 病院側も、AFPの取材に李氏の死因は不明だと回答した。

 人権団体によると、李氏は大物活動家として厳重な監視下に置かれており、入院していた病室の周りでは10人近い警察要員が同氏を監視していたという。

 香港(Hong Kong)に拠点を置く「中国人権民主化運動情報センター(Information Centre for Human Rights and Democracy)」は声明で、李氏が病室の窓から包帯で首を吊ったような状態で死亡していたと発表した。発見者は同氏の妹と、その夫の趙氏だという。同団体は、「監視要員が李氏に暴力をふるって殺害し、自殺に見せかけた可能性を否定できない」と指摘している。

 邵陽で工場に勤務する労働者だった李氏は、1989年の天安門事件につながった民主化運動に加わり、反革命罪で禁錮13年を言い渡された。2001年に出所した直後、今度は国家転覆扇動罪で逮捕され有罪となり、10年間服役した。

 中国の人権擁護団体「チャイニーズ・ヒューマンライツ・ディフェンダーズ(Chinese Human Rights DefendersCHRD)」によると、李氏は服役中に受けた虐待でほとんど聴力と視力を失い、歩行も困難な状態だったという。(c)AFP

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