【6月1日 AFP】エジプトを暫定統治する軍最高評議会は31日、数十年続いた同国の非常事態が終わったと発表した。

 6月中に新大統領を選出するとしている軍最高評議会は、「非常事態が終わったことを考慮し、憲法宣言と法律に従って国民的・歴史的な任務を継続する」と述べ、権力移行が完了するまで現在の任務を続けると表明した。大統領選の第1回投票の上位2人で争う決選投票は6月16、17両日に行われる予定になっている。

 2011年3月の国民投票で承認された憲法宣言は「国を守る」職責を軍に与えたが、非常事態宣言を公布する権利は政権の求めを受けた議会だけが持つとされていた。議会の最大勢力、自由公正党(Freedom and Justice Party)のエッサム・エリアン(Essam Erian)副党首はAFPに対し、軍最高評議会の発表は同評議会が議会に非常事態法の延長を求めないという意味だと説明した。

 エジプトは1981年に当時のアンワル・サダト(Anwar Sadat)大統領が暗殺されてから非常事態下にあり、当局は令状なして国民を逮捕し、裁判にかけることが可能だった。ホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)前大統領がまだ権力を握っていた2010年5月、議会は非常事態法の2年間の延長を承認したが、同法の適用はテロや薬物犯罪への適用に限定されていた。(c)AFP/Samer al-Atrush

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