【5月30日 AFP】シリアを訪問している国連(UN)とアラブ連盟(Arab League)のシリア特使、コフィ・アナン(Kofi Annan)前国連事務総長は29日、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領と会談した。

 アナン氏が仲介した停戦案は4月12日に発効したはずだったが、流血の事態は続いている。会談でアナン氏はシリアで15か月前から続いている流血の事態を終わらせるため、直ちに行動するようアサド大統領に要求した。

 会談を終えたアナン氏は「われわれは今、転換点にいる」と述べた。「シリア国民は流血と分断の未来を求めていない。しかし、殺りくと虐待は今日も続いている。停戦実現に向けた勢いをつけるため今日、明日ではなく今日、大胆な行動をとるよう彼(アサド大統領)に要請した。これはシリア政府と政府の支援を受けた民兵が全ての軍事行動を停止し、最大限の抑制を見せることを意味する」

 アナン氏は28日、国連安全保障理事会(UN Security Council)がシリア中部ホウラ(Houla)で25日から26日にかけて行われた虐殺について非難する声明を出した数時間後に、シリアの首都ダマスカス(Damascus)に入っていた。

 シリア当局はホウラの虐殺の責任の大半は武装した反政府勢力側にあると繰り返し主張してきた。アサド大統領は29日の会談で「アナン氏の停戦計画の成功は、テロリストとその支援者の活動および武器密輸の停止にかかっている」と述べ、あらためて従来の立場を表明したという。

 しかし国連平和維持活動局(Department of Peacekeeping OperationsDPKO)のエルベ・ラドゥス(Herve Ladsous)局長は国連本部で記者団に対し、ホウラの虐殺にアサド政権派の民兵が関与した疑いが強いと述べるとともに、シリア政府軍しか戦車や重火器を持っていない状況で砲撃による多数の死者が出たことは、シリア政府に責任があることを示していると述べた。(c)AFP